スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | ∧top | under∨
最前線で被曝する技術者を失う時、もう打つ手はない
2011-04-05 Tue 07:34
4.4
*クリックで拡大します

最悪のケースは明確に定義できます。
メルトダウン(炉心融解)によって引き起こされる水蒸気爆発によって、
大量のプルトニウムなどの放射線物質が飛散し、拡散する事態です。


個人ができる福島第一原発事故のモニタリング法は今後もつづけていきます。
力を抜いて他にやるべきこと、やりたいことに振向けたい思いもありますが、最悪のケースは去っていないと判断しています。

その理由を記します。

さて、小康状態は保っています。

水をかければ発熱する原子炉圧力容器・格納容器さらに使用済み燃料を一時冷やすことができます。
注水をつづけていれば、一時冷却プラス一時冷却プラス一時冷却・・・で、小康状態は保っていけます。

それをもって収束に向かっている、
あるいはほぼ最悪のケースからは脱した、
と判断することは疑問です。

当面の山場(第一目標)も明確ですが、それに手を付ける段階にすらいたってないのが実情です。

第一目標とは、4機の原子炉冷却プラントを修理し、冷却システムを復旧することです。
炉とプールが冷温停止状態を維持し経常的な冷温停止に持込むことです。
止血(放射能漏洩を止める)しなければ、手術(廃炉への数十年単位の一歩)ができないからです。

最大の問題は人材にあります。
原子力技術者、原子力作業熟練者のことです。
そうした人材には限りがあります。

何人かのブロガーが、『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』(ダイヤモンド社、 1984年)を取りあげています。
池田信夫blog part2「失敗の本質」や、じぶんしょこ「失敗の本質」などです。
なかでもポイントは戦力の逐次投入です。

池田さんは、「戦略目的が曖昧なため戦線の優先順位が決まらず、兵力を小出しにして全滅する」と要旨を書いています。

3月15日、厚生労働省と経済産業省は、作業員の被曝線量の上限を計250ミリシーベルトに引き上げています。
これが「戦力の逐次投入」の始まりでした。
まさに目の前の危機(敵)を乗り切るため、モグラたたき作戦に陥り、貴重な人材を消耗してしまったのです。

現に底をつきはじめています。

「AREVA(アレヴァ)社のロボットがある」
?そうでしょうか?
放射能測定はある程度可能かも知れません。
しかし、それすらロボットが機能する理想的な環境ではありません。

建屋の残骸、破壊され散らばった配管配線、汚染水のあふれる現場でロボットが機能すると考える方が不自然です。

破壊された状況から修理方法を判断し、一つひとつ手修理する。
プラントの修理は人がやる以外には考えることができません。
妙手などないのです。

そのために投入すべき人材は、注水のような単純作業とは違い、高度な作業内容を要求されます。
とりわけ修理にともなう判断はそれらを熟知した技術者や作業員を必要といたします。
その人たちが疲弊し、被曝によって身動きできなくなっていくのです。

(「注水のような単純作業」の意味は、被曝環境下における困難な作業を無視しているのではありません。作業そのもの質を取りあげています。)

一週間ほど前のことです。
現場を指揮する東電の課長の累積被曝量が170ミリシーベルトを超えたと報道されました。
直観的に考えたのは、今後は誰が指揮するのか、そして作業員・・の人材問題でした。

ざっくり言うと、現場の技術者、作業員は一日に約10ミリシーベルトの被曝を受けている計算になります。
10ミリシーベルトの75%、7.5ミリシーベルで積算しても4月半ばに、5%に抑制できたとしても4月末にはほぼ全員が250に達してしまいます。

プラントを熟知している技術者、作業員が次々と250ミリシーベルトに近づくことは目に見えているのです。

まだプラントの本格的な復旧工事ははじまっていません。
専門家が身動きできなくなった後、どうするのでしょうか。
今後もっとも必要な人材は、プラントを熟知している技術者、作業員のはずです。

図表にあるように、福島第一原子力発電所(現在4機稼働中)に在籍する技術者は868人です。
(出典=経済産業省・平成22年4月『東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更に係る安全性について』から)
福島第二原子力発電所は資料から509人です。
最大の柏崎刈羽原子力発電所は980人です。

本店原子力設備管理部の約160余人をくわえ、約2,500人が在籍技術者の総数です。

内技術者として経験年数が十年以上は280余人にすぎません。


「撤退は許さない」
首相であり最高司令官(自衛隊)菅直人が号令をかけたと報道されています。
結果、最後の砦ともいうべき技術者、作業員が倒れていきます。

最前線の人々がいなくなり撤退を余儀なくされることを危ぐしています。

この国は再び特攻精神を黙認するのでしょうか。

そうなった時、すなわち原子炉プラントが補修不可となったとき、残された手立ては何でしょう。

全国の自治体の消防、自衛隊を駆り出し、
順番で放水しつづけることです。
数年、あるいは十年をまたいで、放水をやめることはできません。

残される手段は、東電同様に計画放水を実行することです。

知りえる情報から論理を組み立て、
自ら主体的に分析し、
判断の放棄を拒否しましょう。

すくなくとも大本営発表で一喜一憂し、右往左往するのはやめましょう。

僕個人の判断は悲観的です。
僕が間違うことが一番望むことです。
危機を徐々に脱しているのではなく、最悪のケースへとはまり込んでいくように見えます。


失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
(1991/08)
戸部 良一、寺本 義也 他

商品詳細を見る

関連記事
スポンサーサイト
別窓 | 事実データ&思考 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<モニタリングポストの放射線量×4、2そしてプルトニウム | 三保小次郎日誌 | 個人ができる原発事故三つのモニタリング法>>
この記事のコメント
∧top | under∨
コメントの投稿

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
∧top | under∨
| 三保小次郎日誌 |
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。