平均の下落ー移動平均線研究15(若き人へ)ー
2010-11-04 Thu 14:06
20101104

日経平均株価の十年移動平均線がみせてくれたのは、平均の落下、です。
この国の成長力の全般的低落傾向です。

株もキツかったが、地価の下落はさらに深刻でした。
バブル崩壊で一気に一千兆円の富(地価)が吹っ飛びました。
打撃を受けたのは一部の富裕層だけではありません。

全国の持ち家比率は62.13%(平成18年)です。
そのなかの多くがローンで自宅を手に入れた人々です。
バブル後も地価下落(資産デフレ) はおさまっていません。

じわじわと、だらだらと資産の「平均の落下」がつづいています。
資産に分類される株価・地価も、フローの所得もともに低下している。
下げ止まらない。

さて「所得格差の拡大」を真っ先に打ち立てると、その陰に隠れて重要な事が見えなくなります。

全般的な貧困化が始まっていると指摘するのは、第53回日経・経済図書文化賞を受賞した、小塩隆士『再分配の厚生分析』(日本評論社)です。
社会全体の生活が低下し、日本は平均的に貧困化している。

平均において貧しくなった。

図表は、彼が分析に用いた厚生労働省の「国民生活基礎調査」データからとりました。
1世帯あたり平均所得金額の年次推移、です。

彼は大きく3点を指摘しています。

第1は長期不況の家計所得への影響によって、日本の世帯の所得水準は,2000 年代前半にかけて顕著な形で低下していた点です。

第2にあげている点は、僕たちが現代社会に抱いている印象や「常識」と反しています。
所得水準が低下する一方で、むしろ格差指標は2000 年以降いずれもいくぶん改善傾向にあることを明らかにしています。
つまり、2000年代前半にかけて所得水準の低下と所得格差の縮小が同時進行していたわけです。

第3は、平均的な所得水準の低下と所得格差の縮小という同時進行が、程度の差こそあれすべての年齢階層で起こっていた点です。

2,000年代に入り、所得格差の各種指標がむしろ改善していたのは,日本の世帯の所得分布が低所得のところでその層の厚みを増してためです。
より低い所得水準での厚みを増す形で全体として貧困化した。
平均の下落、の進行のなかで、きびしくなる生活実感が経済格差をあぶり出したといえます。

平均の下落、というキーワードで貧困と格差の問題を再考してみる必要がありそうです。


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(2010/06/01)
小塩 隆士

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