政権支持・政策不支持に分裂した政治意識、小沢以外は正義か
2010-09-21 Tue 06:12
格調高くはじまる文章はうさんくさい。

時には正義の話をしよう
(日経新聞9月20日、土谷英夫氏のコラム・タイトル、下部に転載)

日経本社コラムニストの肩書きを持つ土谷英夫氏は、まずは権威を持ち出す。
常套手段である。
ハーバード大学マイケル・サンデル教授と著書の『これからの「正義」の話をしよう』を軽く紹介する。

『これからの「正義」の話をしよう』のタイトルは、訳者の鬼澤忍か早川書房の編集部がつけたのだろう。
原題は、“Justice: What's the Right Thing to Do?”だ。
正義:何が正しい行為か?、
あるいは、正義:正しい行いってなんだろう?というのが原題だ。

これを真っ先に引用した。
土谷英夫氏はサンデル教授の主張する何を根拠に論を進めていくのか。
サンデル教授の論理に何をつけ加え、論理をふくらましていくのか、期待した。

が、期待はみごとに外された。

「教授の正義論を読んだせいかもしれない。」とふりながら、そこで論理は途切れてしまう。
なら、なぜ引用するのよ?という気分だけが残った。
しかも、テキストと自分のコラムのタイトルを微妙にかえて、混乱と錯覚を持込み、これを利用しようとする意図がありありと浮かび上がる。

比較してみよう。
著書タイトル これからの「正義」の話をしよう
コラム表題  時には正義の話をしよう

微妙なちがいだ。

なんと巧みだろう。
こ狡い。
括弧付き正義の「」はみごとに取り払われて、「これから」は、「時には」にすり替えられている。

いや、すり替えではないだろう。
そう、すり替えではなくて、ダマし絵みたいなものだ。
大きな見出しに目がくらんだ読者は、タイトルの先入観にとらわれる。

「これから」も、括弧付きの正義もうっかり見落としてしまう。

あざとい。

なぜ正義が括弧付きであったのか、これはとりわけ見逃せない論点だ。

正義を一義的には決められないからである。
だから括弧をつけた。
翻訳者の立場に立てば、そう理解できるのである。

引用された著書は、第一章「正しいことをする」のなかで、justice(正義、公正)を次のように定義している。
“ある社会が公正かどうかを問うことは、われわれが大切にするもの──収入や財産、義務や権利、権力や機会、職務や栄誉──がどう分配されるかを問うことである。公正な社会ではこうした良きものが正しく分配される。つまり、一人ひとりにふさわしいものが与えられるのだ。”

しかも、問題はそこから先にある。
“幸福、自由、美徳である。これらの理念はそれぞれ、正義について異なる考え方を示している。”
幸福、自由、美徳はいくばくかは重なる。
が、対立し矛盾する理念である。

justiceを判断する基準として、何が妥当か。

正しいことを行うことの困難を問うているのが、“Justice: What's the Right Thing to Do?”である。

土谷英夫氏は小沢氏の悪を並べ立てるが、新しいものは何もない。
マスメディアが言い散らしてきたことをくり返す。
論理も単調だ。

小沢以外は正義。
黒(悪)を裏返せば白(正義)。
まるでオセロゲームのような単純な論理。

土谷英夫氏は「民主党国会議員のほぼ2人に1人の200人が1票を投じたことに、あきれた。」と書いた。

真っ向から反論だ。
民主党国会議員はいきなり逆流の中に放り込まれた。マスメディア「世論」の反小沢攻撃にされされた。
次の選挙の踏み絵さえ踏まされた。

そのながで200人がつくられた「世論」に抗したことに感動した。
「世論」に迎合しなかった200人の民主党国会議員。
選ばれし者はかくありたい。

土谷英夫氏は「党員・サポーター票は大差」と書いた。

ドント方式のため、249対51の結果になった。
菅が13万7,988票に対し、小沢氏は9万194票。
比率は60.5%体39.5%だった。

よく踏ん張ったと思う。

土谷英夫氏は書いた。
「代表選ではっきりしたことがある。政策面で、マニフェスト見直し論が、バラマキ継続論に勝利した。」と。
???

朝日新聞の直近の世論調査の結果を見よう。
[内閣支持にかかわる質問]
・菅内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する    59%
 支持しない   25%

[政策にかかわる質問]
・景気・雇用対策の面で、菅内閣は期待できると思いますか。そうは思いませんか。
 期待できる   29%
 そうは思わない 54%
・年金や医療などの社会保障政策の面で、菅内閣は期待できると思いますか。そうは思いませんか。
 期待できる   36%
 そうは思わない 46%
・外交や防衛政策の面で、菅内閣は期待できると思いますか。そうは思いませんか。
 期待できる   26%
 そうは思わない 53%
・菅内閣は、消費税をめぐる問題を、国民が納得いくように進められると思いますか。そうは思いませんか。
 進められる   30%
 そうは思わない 54%

政権は支持する。
だけど政策は期待できない、支持できない。
これが世論である。


このアンビヴァレンツ(二律背反)をつくり出したのは誰か?
国民に分裂した政治意識をつくり出したのは誰か?
一人ちょうちんコラムを書くコラムニストの責任だとは言えないだろう。

アンビヴァレンツ(二律背反)な政治状況をつくり出し、支配層の利益を守ろうとしているのは誰か?

この政治の停滞をまねいたのは誰か?

時には「正義」の話をとめよ。

「正義」を持ち出し、
「正義」を語り、
「正義」だと主張する者たちから耳をふさごう。

マスメディアの刷り込みから自分の意識を解放しよう。

*クリックで拡大します
切り抜き
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