わさびご飯
2010-09-02 Thu 09:04
はざかい期に人はきえる。
隠れていたものが現れる。
時も歩みを止め、ひと時人に語りかけてくる。

八月のみそかに温泉につかろうと、酔興に思い立ったわけではなかった。

多忙な友がようやく手にした休日だった。

湯道

竹林にそってほそい脇道がくだっていた。
狩野川の渓谷が道の先に見えている。
「湯道だね」

友によると、川辺の共同湯へとつうじる道であるそうだ。

あふれていた人影が踏み散らした地べたから、名もなき雑草が惜しげもなく背を伸ばしている。
まだ夏の盛りのような陽気が林を包み込んでいた。
眼下の清流だけがやけに清々しい。

旅館はその清流沿いにあった。

旅館にとってもはざかい期だ。
二組の客しかいなかった。
伊豆天城湯ヶ島温泉、白壁荘に泊まった。

巨石風呂

温泉をたんのうした。
瑠璃の湯、巨石風呂、巨木風呂、木こりの湯、部屋の露天風呂、と五ヶ所をめぐった。
湯疲れしなかった。

生け花

湯もよかったが、人とふれたという思いが残った。

ブログ「白壁荘だより 天城百話」の書き手だろう、ご主人から井上靖の話を聞く。

湯を結ぶ廊下の各所に若女将が生けた一輪、一輪。

女将宇田倭玖子さんは82歳になるという。
見送っていただいた。
湯道をのぼる姿が見えなくなるまで玄関からはなれようとしない。

帰りの列車のなかで友が言う。
「何が一番か?天城のわさびだね。」
わさびご飯につきる。

わさびご飯


関連記事
スポンサーサイト
別窓 | 読書趣味おしゃれに旅健康 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
<<小沢を叩け、叩けー独占的メディアによる集団バッシングー | 三保小次郎日誌 | なんでiPhone とアナログツールと混ぜて使ったらあかんの?>>
この記事のコメント
∧top | under∨
コメントの投稿

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
∧top | under∨
| 三保小次郎日誌 |