行きはよいよい帰りはこわい、日銀が口をつぐむ出口戦略
2017-04-13 Thu 17:02
 一つの質問を発するのですが、質問自体とても難しいことですね。

 質問の要点がしっかり述べられているかどうか、質疑を検証するにはまずは質問が適当かどうかから検証する必要があります。

 10日の衆議院決算行政監視委員会民進党の原口一博議員の質問に、日銀の雨宮正佳理事が次のとおり答弁しています。

 下段YouTubeの2:48〜4:30です。

「長期金利が仮に一%上昇した場合日本銀行のバランスシートどうなりますか。」

「昨年2016年9月末時点における長期国債の保有状況を前提としまして、
仮にご質問にありました長期金利が一%、いわゆるパラレルシフトともうしますか、
イールド・カーブが全般にわたって1%上昇した場合の時価総額の減少幅を計算いたしますと、
マイナス23.8兆円程度という計算になるということであります。」


 下段にあるように、日本国債の金利データから、イールドカーブを描いてみました。

 イールドカーブとは〈横軸に残存期間、縦軸に利回りをとり、残存期間が異なる複数の債券の残存期間と利回りの関係を表した曲線のこと=財務省の定義〉です。

 では、原口議員の仮定した長短金利の全般的上昇、イールドカーブの上昇する発火点、トリガーとなるのは何でしょうか。

 筆者が質問の矛先を向けてほしかったのは、「仮定した長期金利上昇」が何によって引き起こされるのか、イールドカーブをコントロールできなくなる臨界点の問題です。

 先取りすれば、それは黒田日銀総裁の「沈黙」のなかにありそうです。

 日銀は、昨年9月21日の金融政策決定会合で「2%物価安定の目標」を早期に実現するため、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定しました。
 二つの柱があります。
①長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」
②インフレが2%を安定的に超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」

 日銀は、これまでの「量的・質的金融緩和」は実質金利低下の効果により経済・物価の好転をもたらしたと「総括的検証」し、そして今回導入の「イールドカーブ・コントロール」によってさらにこの実質金利低下の効果を追求するのだといいます。

 1月末時点の日銀の国債保有残高は約358兆1977億円。同じ1月末時点の国債の発行残高(約894兆3357億円)に占める日銀の保有割合は初めて4割を超えています。

 腹一杯にため込んだ、日本国債を吐出す(売却)ための段取りが出口戦略ですが、「検証」では沈黙をきめこんでいます。

 残念な事に野党もその問題点に充分切り込めていません。(原口議員も)

 日本国の財政リスクをひとえに身一つで抱え込んでいるのが日銀の現在の姿です。

 日銀に国家財政リスクが集中しているのです。

 日銀は長期国債を高値で大量に買い入れてました。
 いずれかの時点でこれを吐出すと、安値で売却する、ないしは保有国債の利回りを上回る金利を超過準備に払わなければならないでしょう。
 日銀が巨額の損失をこうむれば、最終的には国民に負担が圧しつけられます。

 つまり、財務省のキャリア官僚はしらっと答えていますが、一%の金利上昇ですら日本国の利払費用が雪ダルマ式に増える脆弱な実態にある、という点が最大のポイントです。

 国債は日本国一国でまかなっているから、ギリシャとは違うという的外れな議論に流される事なく、この問題に正面から向き合う必要があります。

 グローバル経済においては何がトリガーのトリガーとなるか誰にも分かりません。

 一番弱い所をついてくるのがグローバル・マーケットの本性です。

 この国の脆弱性が日銀出口戦略への移行時に存在するという事実を認識することです。





イールドカープ

*クリック拡大
1.データ出所=日本国債の金利データ
2.利回りイールドカープと、1%シフトのあいだの面積(積分)が「含み損」となる。
3.データから筆者がExcelで作為した。
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