一服の茶
2015-04-26 Sun 14:31
「正気になってはいけません。」

そう彼はいうのです。

売れない役者でしょうか。
口をついて発せられる一家言から、彼は作家であるかもしれません。
実は同業者で依頼のない建築家、そんな風情もあります。

仕事にあぶれて自由人であることは確かですが、飲み友だち以上のことはしりません。

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「茶室はおやりにならないのですか。」
おやりになりたいものですが、坪一千万は下らない相場につきあう施主がそうそう見つかるものではありません。
生唾をのみこみます。

「まだ手掛けたことはございません。」
これからも手掛けることはないでしょうが、そう答えておきました。

望みがない訳ではありません。
注文がなければ、自分のためにつくれば良いのです。
と、不意に言葉がついて出ます。

「茶部屋をつくろうかと思っています。」
「茶部屋?」
「極私的喫茶部屋です。」

自分でもびっくりりしました。
空想は売れない役者の、作家の、建築家のゆるされるてある自由です。
彼の入れてくれたグリーンティーは、なんともいい色合いのティーカップのなかで揺れていて、ぼくはそれにさそわれ一瞬夢を見たようです。
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