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桜散る、ぼくらはみんな失業者

ぼくらの桜は雨で散りはじめていました。
伊東駅から松川河口へつく頃には雨が本降りなってきました。
花弁が大勢流れていきます。

大雨になりそうです。
遊歩道にそっておかれた燈火も今日は灯されることはないでしょう。
桜を残しさっさとホテルに飛び込みました。

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年金三人組は一泊7,344円で、飲み放題食べ放題を楽しみに来ました。

ぼくらは仕事がないのですから失業者のようなものです。
老人とはまずもって失業者であります。
我沒什麼事干、正無聊著。

「私は何もすることがなくて、退屈にしている。」

平日にホテルですから贅沢なものですが、ふだんはこの難しげな漢字「無聊(ぶりょう)」が名も体も表しているように思います。
しかして、老人は失業者であり、無聊であります。
有り余った時間をいかように埋めるか算段し、限りあるフトコロに相談し、今日こそは待ち受ける飲み放題に心身をまかせます。

不良老年のナンパ気分を抱え、ロビーで顔見知りになった奥様のテーブルに三人で押しかけ、旦那を巻き込んで飲みはじめました。
彼はぼくと同年生まれと分かり、「早生まれは大変だった。」のやりとりで大いに盛り上がりました。
彼は二月、僕は三月生まれで一気に打ち解けました。

若い奥さんです。
実年齢をコクられましたが、実際二十歳は若く見えたのです。
ご旦那はいきさつをとがめることもなくも、まわりのテーブルに人がいなくなるまで飲みつづけます。

彼は65歳で定年し、今は月に十日働いているそうです。
「週に二日か」と思うと、その適量にうっとりしたものです。
定期的に仕事があるのはうらやましきかな。

「新たな仕事」
なんという誘惑でしょう。
ざっとこんなことです。

・なにがしかの収入がある
・わずかだが社会貢献できる
・人と交わる楽しみがある
・その日その日に充実がもてる
・長年つちかったスキルが多少なりとも生かせる

年金三人組は若い奥さんと仕事のある生活への憧憬にしこたま酔いしれました。
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