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断絶と通底ー縄文と弥生ー
2015-03-27 Fri 16:37
岡本太郎『縄文土器論』が発表されたのは『みづゑ558[1952年]』であった。

“確かに文化史的に見ても、また形態学上からも、縄文式とそれ以降の文化との間には一応の断層があり、次の弥生式と現代日本は一つの系統として通っている。”

掲載されている写真には一括して「縄文土器」あるいは単に「土器」「大甕」などおおざっぱな名称が打たれているが、岡本太郎が着目しているのは、地域と発掘順の二軸で配列、編さんした土器編年によれば、甲信越で出土した縄文中期の井戸尻式土器、曽利(そりしき)式土器、馬高式土器、唐草門系土器と見られる。
関東の勝坂(かつさか)式土器と特徴が共通するので、勝坂式土器群とも呼ばれている。

これには縄文土器の代表的文様である、縄を回転させてつくり出された「縄文」文様は見られない。
そこに表現されているのは以下「のようなもの」のイメージだ。
・哺乳動物
・爬虫類
・特定できないある種の生物
・人間

最初に出現したイノシシ(哺乳動物)の動物文は写実性に富んでいるが、しだいに「のようなもの」へと変わっていく。
ヘビなどの爬虫類、サンショウウオやカエルなどの両生類・・・「のようなもの」で、写実的ではない。
抽象的な表現をとっている。

とりわけ顔面把手(人面把手)と呼ばれる土器の意匠はアブストラクトをきわめる。

岡本太郎はそこに「アバンギャルド」の源流とともに、ミッシングリンク(Missing-link)を見出した。
彼はこう問おうている。

“さて、その意味でまず第一に注目されることは、既に述べたような紋様、形態のまったく独自の超日本的相貌である。このように激しく強靭な美観を支えているものはいったい何であるか。何故その逞しく漲る生命感が突然に途絶えて、次世代の弥生様式から埴輪を通って流れる、平板な、所詮「日本式」伝統と交替してしまったのであろか。”

弥生土器が縄文の伝統をまったく払拭しているのではない。
井口直司は次のように総括している。

「つまり、弥生土器は、各地域の縄文土器を土台としながら、地域色ある弥生土器として日本列島にその分布圏を広げていくことになります。
縄文と弥生という時代の画期に認められるこの不思議な現象は、日本列島に押し寄せる新たな文化を、過去の根を残して吸収するという、時代を超越した日本列島にきわめて重要で特徴的な現象として注目される。」[井口直司『縄文土器ガイドブック―縄文土器の世界』 P.150]

しかし岡本はこの明らかな断絶に刮目するのである。

彼は「その根底にある世界観」に言及する。
後に執筆した『日本の伝統』においてフレーザーの『金枝篇』などを引きながら論述するが、「原始社会においては、すべてが宗教的であり、呪術的である。」(『日本の伝統』P.89)と言うこと以上のことは明らかにしえていない。
アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)のサグラダ・ファミリアに刻み込まれた細部を前に沈黙するように、何ごとか推測し、推論し、論じようとするとはだけしてしまう、もれていく何かを感じる。

なら弥生土器からこれらを照射したらどうか。

矢部良明は『日本陶磁の一万二千年―渡来の技独創の美』で弥生土器を次のように総括する。

“形はひとつの統一体として、まことに調和のとれた安定感によって支配され、形を飾る文様も縄文土器のように器面を覆いつくし意匠が形を超えてしまうことはない。文様は控え目に要所に収まって、形を破綻させようとする意欲はまったく消え去ってしまった。形と文様が織りなす均衡感覚は健全であり、二十世紀に生きる私達はこの弥生土器に接して、いかにも心安らかに鑑賞することができる。
(中略)
弥生土器の成立は、まさしく現代日本人の芸術精神の成立を証するのである。”[矢部良明『日本陶磁の一万二千年―渡来の技独創の美』 P.65]

稲作灌漑、ひと言でいえばagricultureにおいてはメンバーには、希薄であった縄文時代とは比較にならないまでの「秩序圧」にさらされ、自らが自らを縛る「道徳観(規律意識)」に支配される。
弥生以降の日本社会の成り立ちとこれに対応する日本人の精神構造。
そして美意識。

興味はつきない。


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(2005/05/10)
岡本 太郎

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