異形の時代、縄文火焔土器
2015-03-24 Tue 15:16
弥生土器は平板で穏やかなシンメトリーに包まれ、思わず寝息を立ててしまう、そんな静けさがある。
そいつは落着きはらった平穏のなかにたたずんでいる
微塵もいやらしさがない。

壺形土器[出典=東京国立博物館]
壺形土器[出典=東京国立博物館]

満ち足りた夕げの後の短いうたた寝。
変わりようのない今日と明日と。
間違ってもそいつに逆なでされることはあり得ない。

弥生土器の妙におさまった相貌に飽きることはなかった。

新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器
新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器[出典=十日町市博物館]

炭素14年代測定法(自然科学的年代決定法)によれば、それには約4000年~5000年前(縄文時代中期)の食物の御焦げこびりついていた。
火焔土器。
こいつで煮炊きし、古代人が深鉢を囲んで団らんがあったと訊いたとき、うなりをたて波頭が隆起する異形の器を思わず見返したのですが、鳴りを潜めたまま何も語ってはくれません。

千年の間吹き上げた噴火のような美の世界は、痕跡を残さず唐突に消え去った。
そう、異形の火焔土器に表出した何かが消えてしまったのです。
その後、弥生の後裔がこの国の芸術、美的感覚を取り仕切っています。

たかだか煮炊道具に施された異形に対し、僕のなかにもそれを受けつけない、むしろ毛嫌いする遺伝子がうごめいています。
何かをぼくらは抑圧しているのかも知れない。
何を失ったか。

奇怪にくねくねと這い回り、盛り上がり、暴れ回る隆線文のへんてこな乱調に心はみだされるばかりです。
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