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イマヌエル・カントの予見ーフクシマ原発の地下水はどこへー
2015-02-27 Fri 16:16
“現代のわれわれは大学で科学を学び、教え、研究し、業績を上げる。しかし、このような現象は歴史家にとって自明の事ではない。十八世紀までのヨーロッパでは、基本的に、科学を職業として目指す若者を教育しなかった。(中略)十八世紀までのヨーロッパの大学は依然として、聖職者教育を中軸とする中世的性格を色濃く持ちつづけていたのである。”[佐々木力『科学革命の歴史構造』(下)第四章「ドイツ近代大学建設と科学思想」から]

1755年、ケーニヒスベルク大学(現在のロシア連邦のカリーニングラード)に、新任の私講師(教授職にはついていないが、教授資格をもちつつ教育活動を行う者)が着任します。
講義をはじめるようになったその年の11月1日、リスボンに大地震が起こります。
その時書かれたのが『地震論』[「昨年末ヨーロッパの西部諸国を襲った天災に際して、地震の原因を論ず」]です。

少壮の学者イマヌエル・カント(1724年4月22日 - 1804年2月12日)は自然現象として地震の原因を探ります。
それがなにか特別なことのように取りあげることに、現代人は多少いぶかるでしょうが、当時のプロイセン、ヨーロッパにおいて天変地異は「天誅」「天罰」の部類のできごとでした。
現代においても石原慎太郎という扇動家は3.11東日本大震災を「やっぱり天罰だと思う」とあおるぐらいですから、当時は自然科学者の存在そのものが確立されてはいません。

この論文でカントは「地震における不思議な現象として驚嘆と好奇心の的となった」「多くの海岸地方で激しい海水の動揺」をとりあげています。
ツナミのことです。
なかでも彼が取りあげ今日でも興味深いのは、地下水の研究です。

“この水が圧しつけられるという現象でもっとも奇妙なことは、海と何ら眼に見えるつながりをもたぬ湖において、テンブリンでもノルウェーでも、この現象が見られたことである。陸地にかこまれた湖と海とが地下で連絡していることの証明のためにこれまでもち出した証拠のうち、これこそは最有力のものと思われる。”[『カント全集〈第1巻〉自然哲学論集 』(1966年・理想社刊)、 P.242]

しかしながら地下水の研究がどこまで進んでいるのか、二百五十年後の今日でも頼りなく、何をもって事実を把握するのかすらおぼつきません。

“福島第1原子力発電所では今、地下水が不気味な動きを見せている。地下水の上下の流れが逆転している可能性があるのだ。
原子炉建屋の周辺では、地表付近より地下深くの方が水圧が高いため、上部にとどまっている汚染水が下部の層に向かうことはないと東電は説明してきた。しかし、最近の調査で汚染は地下30メートルを超えるような深くまで拡大していることがわかった。「地表に近い層から深部に向けた地下水の流れがある」(東電)
その異常の理由として考えられるのが、福島第1原発の護岸に沿って海の底深くまで打ち込んだ鉄の壁「海側遮水壁」だ。汚染水が地下を通じて海に流れ出るのを防ぐ目的で、東電が設置工事を進めている。最終的には凍土壁と地下で連結し、内部に閉じ込めた汚染水が外に漏れるのを防ぐ役回りを期待されている。
ところが、鉄管を打ち込む工事の過程で地下を掘り起こしたため地層は大きく乱された。この結果、地下水の流れが変わり、東電が想定していなかった深部に向かって汚染水の移動が生じたと考えられている。
実は、福島第1原発の地下構造や地下水の流れはほとんどわかっていない。建設時のデータなどをもとに想像しているにすぎないのだ。海側遮水壁、凍土壁、地下水バイパス、水が土壌に浸透しないよう覆うフェーシング――。様々な汚染水対策が施されているが、予期せぬ副作用も東電を悩ませている。”
(海側遮水壁、地下水の流れ乱す?出典=福島第1原発 汚染水との闘い・日経新聞


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(1995/10)
佐々木 力

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