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フェルメール、光のグラデーションを描く透視図法
2015-02-04 Wed 15:12
“レオナルドのような天才が遠近法を「絵画の舵であり手引き綱」と呼ぶのを聞いたり、また、パオロ・バッチェロのような豊かな幻想をそなえた芸術家について、「もう寝床に入って」という妻の促しに対して、彼が「それにしても遠近法とはなんと甘美なものだろう」というきまり文句であしらったという話しを聞いたりすると、今日のわれわれはいささか奇異な思いにかられよう。”[エルヴィン パノフスキー『“象徴(シンボル)形式”としての遠近法』 (ちくま学芸文庫)、P.67]

パノフスキーは同著で古代から中世をへて、近代にいたる遠近技法の展開を美術史の中に描いた。
画家は透視図法の長方形の窓を通して、いかに描くかを腐心したが、精密な作図は天才の手にゆだねられた。
ボックスを描くことは簡単だろうが、机の上のリンゴやジャガイモ、まして人物であれば「作図」は天文学的な「計算」を必要とする。

まして光、そのグラデーションを描写する透視図法とはいかなるものか。

フェルメール 耳かざり

では、フェルメールはどうであったか。
『福岡伸一のフェルメール 光の王国展 2015』をのぞいてみた。

福岡伸一はフェルメールについて次のように語っている。

「フェルメールは、ただ世界をあるがままに記述しようとしている。」
「フェルメールが、あたかも写真で撮影したように、室内の光と影をキャンバスの上に写しとろうとした。」
「フェルメールは、いまでこそ光の天才画家と呼ばれているが、ある意味で実験者であり、科学者でもあったのだ。」

フェルメールがおもに使ったのは二点透視図だから、方法論としては15世紀ルネサンス期にはフリッポ・ブルネレスキやレオン・バティスタ・アルベルティによって確立されていた。
だからといって、それを駆使できるのは人類のごく一部の天才だけだ。
彼の秘密はどこにあるのか、科学者とはどういう意味か。

“フェルメールの正確すぎる遠近法には秘密がある。彼はカメラ・オブスクーラという光学機器を使って3次元の室内を2次元のキャンバスに写し取っていたのではないか。カメラ・オブスクーラはレンズのついた針穴写真機のような装置だった。レンズの作用により、フォーカスがあっている中心はくっきりとみえる。そのかわり周辺は、すこしずつゆがみ、光の粒はにじんでみえる。しかし、これこそが私たち人間の視覚のしくみでもあった。フェルメールはそのことに気づいていたのではなかったか。彼はいくども試し、調べ、また試すことを繰りかえしたであろう。”[「フェルメール、正確すぎる遠近法の秘密」

パノフスキーは遠近法を総括する。
“遠近法はこの視空間を数学化するのではあるが、しかしそれが数学化しているのは、やはりまさしく視空間なのだ。また、遠近法は一つの秩序づけではあるが、しかしそれは視覚的現われの秩序づけなのだ。”[前掲著書、P.77]
わずかにつかんだ気づきを確かめるため、3月10日の会期末までにはフェルメール展をもう一度見に行きたいと思ってる。


“象徴(シンボル)形式”としての遠近法 (ちくま学芸文庫)“象徴(シンボル)形式”としての遠近法 (ちくま学芸文庫)
(2009/02)
エルヴィン パノフスキー

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