孤高のシングル、永井荷風
2014-08-18 Mon 15:56
川本三郎『荷風好日』を読み終える。
だいぶかかった。
六七年に及ぶかもしれない。

飽きてしまい、長い間読み止しにしてあった。
雑誌・新聞他に発表した随筆の集成だから、一つひとつが読み切りである。
重複するところもあって、時をおいても読むのに不自由はなかった。

第三部「時の中で」は戦後の荷風を描いている。
敗戦後の荷風が、いよいよ自分の実年齢と重なってくる。
荷風の存在がぐんと身近になっていた。

戦後荷風は金利生活という安定した収入源を失う。
彼は終世資産運用に心を砕いていた。
文士らしくないと言えばそれまでだが、印税を管理し、株売買をして、経済的自立を常にはかっている。

二度結婚している。
商家の娘との最初の結婚は、子どもをつくりたくないから、コンドームをしてやったありさまで離縁となった。
新橋の芸妓・八重次を入籍したが、翌年には別居、別れている。

彼は都会の孤独者だ。
今風にいえばシングル。
つけ加えれば孤高の人だ。

自分の食は台所で賄いする。
うまいものを見つければ外食する。
あきることなく都市を彷徨した。

結婚していなければなおさら、婚姻者もいずれシングルなる。

荷風はそれを半世紀以上も前から実践している。


荷風好日荷風好日
(2002/02/25)
川本 三郎

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