二十六年間手入らずの家の秘密 その三
2017-06-13 Tue 11:11
「屋根材を支え、その勾配を決めているのが垂木(たるき)という部材だけど、言葉で説明するよりは、まずは写真を見てもらうのが早いかな。」



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「どこで撮ったの。」
「日月で奈良へ行った。修学旅行の復習みたいな、ありきたりのコースだけど、最初の一枚は法隆寺・夢殿の軒裏を撮った。鼻隠しがない。垂木の小口がむき出しで外気にさらされているのが分かると思う。もう一枚は泊まった旅館の軒先をベランダから写したもの。」

「鼻隠しがあるとないとでは何が違うの?」
「雨で垂木の先端がまっ先に腐食するものだから、俗にいう破風板(はふいた)、正確にいえば鼻隠し(はなかくし)という板で小口を隠す工夫がされている。面積で見ればわずかなものだけど、この部分が汚れてはげてくると、ずいぶんとみっともないものだ。」
「わずかっていわれてもイメージできないな。」
「巾が12㎝(0.12m)だとしてその全長が50mだとすれば、6㎡。一般の住宅はその程度だろうね。」

「屋根を見上げてまっ先に気になる部分だね。君の先代は鼻隠しにカラー鉄板を巻いていたね。」
「アパートが初めだったらしい。わずかな塗装作業のために足場を組まないといけないから、メンテが高いものにつくから、お施主様には重宝がられたらしいね。」
「ひと手間かければ後々メンテナンスに苦労が少なくなる。」

「防火性能を考えて石綿板に塗装がごく普通の仕様かもしれないが、そこがまっ先にはげてくるから、家自体がみすぼらしくみえてしまう。」
「これもポイントの一つだね。」
「そう、外壁はサイディングになってから耐久性が向上したから、先に鼻隠しがやられてしまう。ひと手間かければ節約になるし、後々見栄えが違う。」

「どうして手を抜くのかな。」
「積算したとおりわずかな面積だから、建築費全体で見れば微々たるものなんだ。」
「でも、やらない。」
「・・・・・」
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