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首都直下地震の発生確率への疑問
2012-02-10 Fri 11:37
首都直下地震の発生確率があいつぎ発表され、その数字(%)をどう受け止めればいいのか、戸惑ったのは私だけではないだろう。
一ヶ月の間に%が二転三転した。
4年以内の発生確率70%、5年以内に28%、4年で50%以下と・・・その変遷は下段のとおりだ。

疑問というか、危惧はいろいろある。

専門家が広報するのだから、受け止めるほうではまずは素直に受けとるのである。
なのに科学の出した結論がこんなにもチクハグでいいものか。
素人に厳密性をチェックする能力はない。

試算(シミュレーション)の数字を公表することで、学的な意味合い以上のものが生じてしまうことになぜ思いいたさないのか。

自分の学問分野をあえて誇示するのか。

東京大学地震研究所は「2011年東北地方太平洋沖地震による首都圏の地震活動の変化について」のなかで、用いた解析手法を次のとおり要約している。

“ 大きな地震はめったに起きませんが,小さい地震はたくさん経験されたことがあると思います.地震の頻度というのは,マグニチュード(M)が小さいほどたくさん起こり,大きくなるほど少ない,という経験則があり,それが『グーテンベルク・リヒターの式』と呼ばれる関係式で表現されています.たとえば日本では,おおよそ,M3の地震は一年に10,000回(1時間に1回),M4の地震は年に1,000回(1日に3回),M5は年に100回(3日に1回),M6は年に10回(1ヶ月に1回)程度となることが知られています.
 一方,大きな地震が起こると余震がたくさんが発生しますが,余震の数は大きな地震(本震)から時間が経過するのに伴って減って行きます.これを数式で表現したものが『改良大森公式』と呼ばれる公式です.地震調査委員会はこれらグーテンベルグ・リヒターの式と改良大森公式を組み合わせて,『余震の確率評価手法』を作りました.”

グーテンベルグ・リヒターの関係式はlog n = a - bM、nは地震の数、Mがマグニチュード、aとbは定数だ。
地震統計をグラフにのせていくと、地震は「エネルギーが二倍になると、その地震の起こる確率は四分の一」になるベキ乗則で発生をくり返していることが分かる。
そこで、素人理解では、大きな地震の背後には小さな地震(余震)がたくさん発生しているのだから、この小さな地震の頻度データから、大きな地震の発生確率を推定しようとする試みのことだ。(グーテンベルグ・リヒター則については、以下のブログ参照。)

「原発今すぐ廃止すべきだ」(11%)、少数派の論理
菅のしがみつきに便乗し反原発を助長しよう

さて、発生確率の数字(%)をどう受け止めればいいのか。

あらためてデイヴィッド・サルツブルグ『統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀』(日本経済新聞社、2006年3月)を読返してみた。
同書にあるように、カール・ピアソンの統計革命は科学の大多数の分野に広がっただけでなく、数学的厳密性とは無縁の大衆にも確率という考え方が押し付けられるようになった。
天気予報に降水確率はつきものになったし、喫煙者の肺がん発生確率、無作為抽出法による世論調査、放射線の人体への確率的影響・・・。

サルツブルグは同書で「意思決定に確率(統計モデル)を利用できるのか」、疑問を投げかけている。

“論理学においては、真である命題と偽である命題のあいだには明確な違いがある。だが確率は、命題が多分真であるとか、ほとんど真であるという考え方を持ち込むことになる。その結果生じたちょっとした不確実性は、原因と結果を扱う際に冷静な厳格さを持って実質含意を捉えようとするわれわれの能力を阻害する。(P.376)”

さらに「人々は本当に確率を理解しているのか」と問い、次のように述べる。

九十%の降水確率と七五%の降水確率を区別しようとしている気象予報士は実際には両者の違いを説明することはできないし、その予報を聞いたどんな人でもその違いの意味に対して一貫した見方を持っていないと、結論づけるべきなのである。(P.383)”


統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀
(2006/03)
デイヴィッド サルツブルグ

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首都直下地震、4年以内の発生確率70% M7クラス、東大試算
「首都直下型などマグニチュード(M)7級の地震が南関東で4年以内に発生する確率は70%に高まった可能性があるとの試算を、東京大地震研究所がまとめたことが1月23日、分かった。」

首都圏M7級地震、京大は「5年以内に28%」
「京大防災研の遠田晋次准教授は、昨年3月11日~今年1月21日までに首都圏で起きたM3以上の地震を気象庁の観測データから抽出。余震活動の減り方の計算式や、規模が大きい地震ほど発生頻度が低いという法則を組み合わせて、統計的に求めた。その結果、M7以上の地震が起きる確率は、5年以内に28%、30年以内で64%となった。(朝日新聞2月1日)」

首都直下型地震の確率、「4年で50%以下」に修正
「東大地震研究所は2月5日、4年以内のM7級の首都直下型地震の発生確率について70%から50%以下に下げると発表した。これまでの予測は、昨年9月10日までに起きたM3以上の地震データに絞って計算していたが、今回は12月31日まで期間を広げて再計算した結果に基づくものとしている。その結果、4年以内の発生確率は50%以下、30年以内でも83%以下と減少した。」



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