新型バブルが発生している? その三
2017-06-27 Tue 06:38
 佐藤理論は、毎月の元金返済分+金利支払以上に家賃収入があれば成り立つ、単純資産形成論ではありません。
 店子からのインカム・ゲインによって、地道に(ゆっくり)資産形成をはかる、のどかな理論ではないのです。
 資産拡大形成論です。

「拡大」がポイントです。
 資産形成のスピードをどうしたら高めることができるか。
 彼自身のテーマは彼をとりまく投資家の野望でもあったのです。

 時代は資産インフレ下にありました。

 株や不動産などの資産の値上りがつづく時代です。
 キャピタル・ゲイン(含み資産)の増加によって、土地は何の努力もなしに(外部環境の変化だけで)、一方的に担保力を付けて行きます。
 この増大した担保力を借金というレバリッジにかえて、資産拡大をはかることに彼の真骨頂がありました。

 亀のような歩みしか持たないインカム・ゲインに対し、増大する担保力と資産拡大を実現する借金によってテコを効かせていく。
 彼の錬金術の核心もまたレバリッジの手法に秘密があったのですが、それ以上ではなかったということもできます。
 損益通算制度、事業用資産の買換え特例の活用は絢爛たる理論に見えましたが、副次的なものにすぎません。

 1989年大納会、日経平均はピークをつけます。
 3万8915円です。
 
 翌年三月、大蔵省(当時)が不動産の総量規制を通達し国策の転換が図られると、一気に「バブル崩壊」へと局面が進んでいきました。
 株価が反転し下落の足を強めていきます。
 流動性の高い株に比べ、地価の下落は遅行しましたが、九十年代を通してしだいに牙をむくようになります。
 
 トリガーは通達でしたが、そこから先きはコントロールの効かない負のスパイラルがはじまっていました。
 落下が落下法則に従順であるように、人と社会の意志とは独立した自然史的過程をたどっていきます。
 平成不況です、失われた二十年の始まりです。

 個人的にはどうしたか、ふれておきましょう。
 事実だけ列挙しておきます。
 
 貸家はすべて売却。
 工場を撤去し宅地として売却。
 小倉庫売却。
 別荘を売却。
 中小企業退職金を取り崩し。
 預貯金をはたく。
 生命保険をすべて解約。
 ・・・
 三ナンバーから5へ。

 考えつくありとあらゆる手だてをこうじ、借金の返済に充てました。

 資産デフレ時代がおとずれていたのです。
 国策の反転とともに拡大理論は破綻しました。
 自分の資産はぶくぶくの借金という脂肪の塊・・・その時時代が変わっていたことに始めて気づくのでした。
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新型バブルが発生している? その二
2017-06-26 Mon 09:33
 日経平均はすさまじい勢いで上がっていたが、どこか遠くで行われている空中戦のようで実感がなかった。
「日経平均という株」が取引されているものと思いこんでいたし、実際それが(日経225先物)取引されるようになった1988年9月頃にはNTT株上場フィーバーで庶民も株に手を出すようになっていた。

 身近だったのは地価のほうだったと思う。
 地価の値上りはすさまじかった。
 いくらで売れた、買った。そんな話がいくつも流れていて、それが自分の思っていた地価とかけ離れた、飛び抜けた数字であって、なぜかワクワクしたのを覚えている。

 一切は国策の結果だ。そう認識したのはずいぶん後のことであった。短くまとめておこう。

 ’85年9月22日のプラザ合意によって各国の市場でドル売りが殺到、円ドルレートは1ドル=242円から一年後には150円台の円高をつける。
 日銀は円高危機論に押され、’86年1月5.0%から五回にのぼる公定歩合の引き下げを行い、2.5%という空前の金融緩和政策でのぞんだ。
 東京の住宅地地価は’87年22%、’88年69%、’89年33%、’90年56%という異常な値上りを見せた。
 日本のGDPが400兆の時代、’86年から’89年に発生した株・土地のキャピタルゲインは1452兆円にのぼった。

 本業を押しのけ財テクに走る企業。
 それをまねて個人投資家が財テクをはじめる。
 そんな時代だった。

 おく病な一庶民だった。 
 自分も資産をつくりたい。
 財テクを学んで1日も早く参戦したいと思った。

「バイブル」が必要だった。

 僕がであったのは佐藤正和『不動産財テク原論』(1987年12月15日第一刷発行)だ。
 奥付に記したエンピツ書きをみると、’88・3/24読了とある。
 すでに賃貸アパート事業を手掛けていたが、確信を持ってそれに踏み込むには十分すぎる理論的支柱になった。

 胆は何か。
 自分でもできる財テクのエッセンスを引き出したかった。

 後悔もあった。
 自邸をつくったことだ。
 資金を固定してしまったことに気づかされる。

 自邸のローンを返済する資金は、本業やサラリーから出さなければならない。
 資産形成が完成するのは、自分が老年をむかえるはるか先だ。
 賃貸アパートローンは店子のフトコロがまかなってくれる。


 スピードがちがう。 
 これが佐藤正和理論の要諦だった。
 個人財テクによる資産拡大形成理論の胆であった。

佐藤の不動産財テク原論
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新型バブルが発生している? その一
2017-06-25 Sun 09:34
 新型バブルに注目している。
 それを述べる前に、前回のバフルを振り返っておきたい。
 自分が体験した「バブル」がどんなものだったか、実録から始めるのが適当だろう。

 はじめて貸家事業に手をそめたのは昭和五十九年(1984年)だった。
 三十六歳、長男が小学校二年のころだ。

 次の年伊豆に別荘をつくった。
 二軒目の貸家を手に入れたのは翌々年昭和六十二年(1987年)、その翌年(1988年)とそして翌々年(1989年)には賃貸アパートを立続けで建設した。
 自邸をつくったのが平成三年(1991年)四十三歳の時、翌々年(1993年)にはさらに賃貸アパートを建築し、同時期横浜反町にワンルームを投資物件として購入した。

「バブル」を意識していた?
 いいや、「バブル」という言葉さえなかった。

 個人が持つデータベースには限界があるから、限られた範囲であることを断っておこう。
 僕が持っているのは毎年改訂される『朝日キーワード』だ。
 1989年版から2015年版まで備えている。

 現代を理解するためのキーワードを選定し、解説・問題点・展望を見開きページに詳述したものだ。

 『朝日キーワード 1991』(1990年4月20日第一刷発行)に「バブル」はのっていない。 
 手持ち資料の中で「バブル」というキーワードが初出するのは、『朝日キーワード ’92〜’93』(1992年4月20日第一刷発行)からだ。
 それらの間に出版された『朝日キーワード 1992』があるようだが、手持ちのなかにはない。そこに初出しているのかもしれない。

 また、講談社発行『昭和 二万日の全記録』全十九巻(平成三年二月二十八日全巻刊行)の「総牽引」にも、「バブル」の文字はない。

 「バブル」というキーワードはなかった。
 それは「バブル崩壊」によって、バブルが認識され、命名されたのである。

 そこにはこう記されてある。
“バブル崩壊 バブルとはあわのこと。株価や地価が、思惑や投機による取引であわのように膨れ上がったのがバブル現象で、金融引き締めが働いて株価が下がり、地価も上昇が収まりはじめ、含み益(取得時の価格=簿価=と時価との差額)が小さくなり、1990年後半から91年にかけて、実態のないバブルが崩壊を始めた。(以下書省略)”

 失われた20年は、ここにはじまる。
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そしてお友達しか救えなかった、ドリル「国家戦略特区」
2017-06-21 Wed 12:11
 日本は成長する。
 成長できる。
 何かが間違って成長できないのだからそれを正そう。

 幻想はたくましく生きのびてきました。

 「岩盤規制にドリルで穴を開ける。」
 ドリルは「国家戦略特区」です。
 安倍首相もそれを支持する国民も経済成長「幻想」病から抜け出せないのです。

 日本国のGDPが二十年以上にわたって500兆円をうろちょろしている事実を、もう何度も書いたのでいささかウッザリしているのですが、彼も彼を支持する国民も成長幻想を捨てきれないでいます。

変わらない日本

白川メモー成長力の強化のためにー

マイナス金利の原論、段階論、現状論

 500兆円を維持するために、とうとうの借金は1000兆円にふくらんでしまいました。
 今生きている国民のふところは痛みません。
 借金はツケを回してやり過ごそという算段です。

「本来自分がこうむる不利益を他人に押し付ける」のです。
 では他人とは誰か?
 未来の自分、そして子供、孫の世代です。

 その結果は悲惨でしょう。

 基本的には高度成長期で養われた妄想に対して、それが誤った認識であるとは考えていないのです。
 妄想に固執しているのです。

 自分達が「病」気だという認識がありません。
 これまでの政府がうまくやらないからだと思っている。
 安倍政権も基本認識が間違っているのですから、なにをやってもほころびが出てきます。

 加計問題は成長幻想の一産物です。

「美容院はたくさんあって足りているのにナンでまた美容師つくるのかね。」
 たしかに美容院は飽和しています。
 ですが、飽和しているのは美容院だけではありません。

 ありとあるゆる業種、業界、産業で飽和しているのです。
 飽和し密集している所を無理にこじ開け入るしかない。

 足らないものがあればそれを埋めてしまうのが経済の論理です。
 足らない=供給不足ですから、チャンスです。
 では、足りていたらどうするのか。

 加計問題は安倍側近官房副長官が関与したお粗末な結末をむかえています。
 お友達しか救えなかった。
 ドリル「国家戦略特区」は、加計学園に無償で36億円の土地譲渡を引き渡しただけで、断末魔をむかえているのです。
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成長できない国の悪夢、国家戦略特区は当初から破綻している
2017-06-03 Sat 09:52
 日本は成長できない国になった。
 1994年以降、名目GDP500兆円をうろちょろしている。
 成長しない、成長できない国なら、それを前提に国家運営を考えなければならない。

 ところが「国家戦略特区」は正反対のこまった思想で成長をごり押しした。
 アベノミクスの成長戦略はボロボロなのに無理強いした。
 これが破綻し、失敗したのは必然だ。

 成熟した分野に手をつっこんだ。
 成長を妄想した。
 当然こじれにこじれ、森友、加計学園問題が発生した。
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