新型バブルが発生している? その五
2017-06-29 Thu 07:27
 リーマンショック以降('09年以降)、中央銀行[日銀、FRB(米国連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)]はこぞって短期金利を限りなくゼロ近辺まで下げ、かってない量的な金融緩和政策で実質金利がマイナスになる状態を続けています。
 利潤が出なくなった資本主義の限界を示しているのですが、これを利用して一儲けしようというのも資本主義の論理にはかなっているようです。

 自分が見つけた方法論を持って、金儲けのプロセスを味わうエキサイティングな体験は本人にはたまらないでしょう。
 中央銀行バブルの歪みを利用し、論理を組み立て、金儲けにまい進する。

 ではユーフォリア(熱狂的陶酔感)を伴わない冷たい(冷静)新型バブルは、生き延びるでしょうか。

 国策による異常な低金利と家賃NOI利回りとのスプレットがある限りは。
 リーマンショックの時、トヨタすら流動資金に詰まったことは明記しておくべきでしょう。
 時代のある一定期間しか通用しない論理で、もっとも鋭く歪みに切り込んだ者=時代の寵児は、自ら発見した論理の反転によって切り返されることでしょう。

 勝ち残ることはできないでしょう。

 イメージですが、彼より5番手、6番手の伴走者は負け残ることはできます。

 バッファ(緩衝装置)を持つことです。
 たくさんのランダムなバッファを持つことです。
 生き残る者はごく少数者です。
 
 生き残ることを考えましょう。

 バッファというのは優位性のことです。
 いくつもの性質の異なるバッファを持つことです。

 私は設計者としていくつものワンルームに関わってきましたが、いまだにワンルーム空間構成一つとってもイノベーションが見られます。

 あるいは、バランスシート思考です。
 左と右の項目には、経営判断でそなえた実物資産リストがあり、金の出所が示されてあります。
 そこに記された記録(事実)と向き合うことで、自らも見落としていた重要な情報を見つけ、あらたな経営的な判断につなげることがあり得ます。

 土地の売買を数十回経験し、それぞれの土地の持つ個別性と需要者のニーズとの不可思議な邂逅をたびたび見ています。
 その個別性を生かせるかどうか、資産効率から考えればワンルームであっても、解は一つではありません。
 売り買いはほとんど運でしたが、それを見る目はすこしはマシになっていると思います。

 本業に助けられることもあります。
 複数収入源によって危機を乗り越えることもあります。

 次元分散です。
 たかだか賃貸業であっても想像力が生き残りの最後の砦であります。
 ゆめゆめ勉強会、セミナーの生半可で薄っぺらな知識で手を出すことのないように。
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新型バブルが発生している? その四
2017-06-28 Wed 06:09
 新型バブルとは何でしょうか。
 それは、新たなレバリッジ法だと考えることができますが、その点の分析は後述いたします。

 まずは佐藤理論との比較で見ていきたいと思います。
 自分の体験、学んだことから、バブルには大前提があるのだと考えるようになりました。
 国策です。

 バブルには、そして国策がレバリッジの成立する根拠であるという特徴が見てとれます。

 国策にのる。
 国策の持つ歪みにつけ込むといってもいいでしょう。

 バブル期のように、現在の経済社会がユーフォリア(熱狂的陶酔感)に包まれているとはとうてい言えません。
 むしろ、静的です。
 比較でいえば、熱狂に対する冷たいバブル、とでも表現しようがないのです。

 それは経済社会の一角で進行する、部分的でしかし鋭いレバリッジを秘めた資産拡大形成の動きです。
 いくつかの現象が見られます。
 自社株買い、M&Aなどもその典型的な例(同じ論理)といえるでしょうが、ここでは主として不動産「バブル」をとり上げます。

 今問われるべき国策は何でしょう。
 アベノミクスです。
 とりわけ中央銀行(日銀)がつくり出した、歪みです。

 中央銀行バブルです。

年利がすごいな

 写真を見てください。
「年利率0.65%」
 下段に掲載したYouTube「クローズアップ現代2016年12月19日」の一場面です。

 銀行から借金をし、賃貸マンションを建築、買収し、そこから利ざやを稼ぐ仕組みをつくり上げます。
 直近に現れているニュー錬金術です。
 やっていることは佐藤理論、バブル期とまったく変わりません。

 0.65%です。
 すごい。
 驚嘆いたします。

 それもほぼフルローンです。
 全額借金ですから、強烈なレバリッジを効かせる手法です。
 そのエキサイティングな投資法には一瞬魅せられます。

 しかしこれが地獄への免罪符になるとは思えません。
 キーになるのは、これが変動金利であることです。
 クローズアップ現代はその点の詳細を省略していますから、私の推測になるのですが、不動産投資ローンは変動金利です。

 マーケットは非情です。
 変動から固定へ乗り換える隙さえ与えないほどに、ボラティリティが跳ね上がる。
 そういう危うさを無視して、リバリッジを掛ける先には破滅への道が待ち受けています。

 この手法を提案し、理論化したかっこうのテキストがあります。
 玉川陽介『Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて』(技術評論社 2017/3/16)です。
 第1部「収益構造理解編」第2章「銀行融資のすべて」のなかで次のように述べています。(P.51)

“じつは、筆者は、不動産投資において、不動産は融資を得るための媒介物にすぎず、重要なのは不動産そのものよりも融資だと考えています。
 融資を中心に据えた不動産投資とは、金融政策により生じた金融システムの歪みを利益に変える「金融システムハック」のようなもなのです。”


 ハック (hack)とは便利な小技のことです。
 彼に語ってもらえば「歴史的な低金利を利益に変えるための有効な手段」(P.63)のことです。
 「歴史的な低金利」は、黒田日銀がアベノミクスの一環として断行した異次元金融緩和以下の超金融緩和政策によってもたらされました。

 彼は、ズバリ国策にのった妙手をさします。
 
 彼は、不動産利益の源泉が「高い賃料収入(純利回り)と低い低金利の差額(スプレッド)」(P.12)だと資産形成の基本を押さえます。
 それを支える基本線、基準線になっているのが「歴史的な低金利」です。
 これが歪みの正体であり、富の源泉です。

 第2部「収益シミュレーション 実践編」はよくできたExcel版ですが、これが通用する期間はたぶんに歴史的であることを指摘しておきたいと思います。
 私は、国策が破綻しないかぎりと限定を付けたいと思います。

 週末は仙台を旅行します。
 いちおうのまとめとして、「新型バブルが発生している? その五」をアップしてから出かける予定です。


クローズアップ現代2016年12月19日
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新型バブルが発生している? その三
2017-06-27 Tue 06:38
 佐藤理論は、毎月の元金返済分+金利支払以上に家賃収入があれば成り立つ、単純資産形成論ではありません。
 店子からのインカム・ゲインによって、地道に(ゆっくり)資産形成をはかる、のどかな理論ではないのです。
 資産拡大形成論です。

「拡大」がポイントです。
 資産形成のスピードをどうしたら高めることができるか。
 彼自身のテーマは彼をとりまく投資家の野望でもあったのです。

 時代は資産インフレ下にありました。

 株や不動産などの資産の値上りがつづく時代です。
 キャピタル・ゲイン(含み資産)の増加によって、土地は何の努力もなしに(外部環境の変化だけで)、一方的に担保力を付けて行きます。
 この増大した担保力を借金というレバリッジにかえて、資産拡大をはかることに彼の真骨頂がありました。

 亀のような歩みしか持たないインカム・ゲインに対し、増大する担保力と資産拡大を実現する借金によってテコを効かせていく。
 彼の錬金術の核心もまたレバリッジの手法に秘密があったのですが、それ以上ではなかったということもできます。
 損益通算制度、事業用資産の買換え特例の活用は絢爛たる理論に見えましたが、副次的なものにすぎません。

 1989年大納会、日経平均はピークをつけます。
 3万8915円です。
 
 翌年三月、大蔵省(当時)が不動産の総量規制を通達し国策の転換が図られると、一気に「バブル崩壊」へと局面が進んでいきました。
 株価が反転し下落の足を強めていきます。
 流動性の高い株に比べ、地価の下落は遅行しましたが、九十年代を通してしだいに牙をむくようになります。
 
 トリガーは通達でしたが、そこから先きはコントロールの効かない負のスパイラルがはじまっていました。
 落下が落下法則に従順であるように、人と社会の意志とは独立した自然史的過程をたどっていきます。
 平成不況です、失われた二十年の始まりです。

 個人的にはどうしたか、ふれておきましょう。
 事実だけ列挙しておきます。
 
 貸家はすべて売却。
 工場を撤去し宅地として売却。
 小倉庫売却。
 別荘を売却。
 中小企業退職金を取り崩し。
 預貯金をはたく。
 生命保険をすべて解約。
 ・・・
 三ナンバーから5へ。

 考えつくありとあらゆる手だてをこうじ、借金の返済に充てました。

 資産デフレ時代がおとずれていたのです。
 国策の反転とともに拡大理論は破綻しました。
 自分の資産はぶくぶくの借金という脂肪の塊・・・その時時代が変わっていたことに始めて気づくのでした。
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新型バブルが発生している? その二
2017-06-26 Mon 09:33
 日経平均はすさまじい勢いで上がっていたが、どこか遠くで行われている空中戦のようで実感がなかった。
「日経平均という株」が取引されているものと思いこんでいたし、実際それが(日経225先物)取引されるようになった1988年9月頃にはNTT株上場フィーバーで庶民も株に手を出すようになっていた。

 身近だったのは地価のほうだったと思う。
 地価の値上りはすさまじかった。
 いくらで売れた、買った。そんな話がいくつも流れていて、それが自分の思っていた地価とかけ離れた、飛び抜けた数字であって、なぜかワクワクしたのを覚えている。

 一切は国策の結果だ。そう認識したのはずいぶん後のことであった。短くまとめておこう。

 ’85年9月22日のプラザ合意によって各国の市場でドル売りが殺到、円ドルレートは1ドル=242円から一年後には150円台の円高をつける。
 日銀は円高危機論に押され、’86年1月5.0%から五回にのぼる公定歩合の引き下げを行い、2.5%という空前の金融緩和政策でのぞんだ。
 東京の住宅地地価は’87年22%、’88年69%、’89年33%、’90年56%という異常な値上りを見せた。
 日本のGDPが400兆の時代、’86年から’89年に発生した株・土地のキャピタルゲインは1452兆円にのぼった。

 本業を押しのけ財テクに走る企業。
 それをまねて個人投資家が財テクをはじめる。
 そんな時代だった。

 おく病な一庶民だった。 
 自分も資産をつくりたい。
 財テクを学んで1日も早く参戦したいと思った。

「バイブル」が必要だった。

 僕がであったのは佐藤正和『不動産財テク原論』(1987年12月15日第一刷発行)だ。
 奥付に記したエンピツ書きをみると、’88・3/24読了とある。
 すでに賃貸アパート事業を手掛けていたが、確信を持ってそれに踏み込むには十分すぎる理論的支柱になった。

 胆は何か。
 自分でもできる財テクのエッセンスを引き出したかった。

 後悔もあった。
 自邸をつくったことだ。
 資金を固定してしまったことに気づかされる。

 自邸のローンを返済する資金は、本業やサラリーから出さなければならない。
 資産形成が完成するのは、自分が老年をむかえるはるか先だ。
 賃貸アパートローンは店子のフトコロがまかなってくれる。


 スピードがちがう。 
 これが佐藤正和理論の要諦だった。
 個人財テクによる資産拡大形成理論の胆であった。

佐藤の不動産財テク原論
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新型バブルが発生している? その一
2017-06-25 Sun 09:34
 新型バブルに注目している。
 それを述べる前に、前回のバフルを振り返っておきたい。
 自分が体験した「バブル」がどんなものだったか、実録から始めるのが適当だろう。

 はじめて貸家事業に手をそめたのは昭和五十九年(1984年)だった。
 三十六歳、長男が小学校二年のころだ。

 次の年伊豆に別荘をつくった。
 二軒目の貸家を手に入れたのは翌々年昭和六十二年(1987年)、その翌年(1988年)とそして翌々年(1989年)には賃貸アパートを立続けで建設した。
 自邸をつくったのが平成三年(1991年)四十三歳の時、翌々年(1993年)にはさらに賃貸アパートを建築し、同時期横浜反町にワンルームを投資物件として購入した。

「バブル」を意識していた?
 いいや、「バブル」という言葉さえなかった。

 個人が持つデータベースには限界があるから、限られた範囲であることを断っておこう。
 僕が持っているのは毎年改訂される『朝日キーワード』だ。
 1989年版から2015年版まで備えている。

 現代を理解するためのキーワードを選定し、解説・問題点・展望を見開きページに詳述したものだ。

 『朝日キーワード 1991』(1990年4月20日第一刷発行)に「バブル」はのっていない。 
 手持ち資料の中で「バブル」というキーワードが初出するのは、『朝日キーワード ’92〜’93』(1992年4月20日第一刷発行)からだ。
 それらの間に出版された『朝日キーワード 1992』があるようだが、手持ちのなかにはない。そこに初出しているのかもしれない。

 また、講談社発行『昭和 二万日の全記録』全十九巻(平成三年二月二十八日全巻刊行)の「総牽引」にも、「バブル」の文字はない。

 「バブル」というキーワードはなかった。
 それは「バブル崩壊」によって、バブルが認識され、命名されたのである。

 そこにはこう記されてある。
“バブル崩壊 バブルとはあわのこと。株価や地価が、思惑や投機による取引であわのように膨れ上がったのがバブル現象で、金融引き締めが働いて株価が下がり、地価も上昇が収まりはじめ、含み益(取得時の価格=簿価=と時価との差額)が小さくなり、1990年後半から91年にかけて、実態のないバブルが崩壊を始めた。(以下書省略)”

 失われた20年は、ここにはじまる。
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