「日銀の発行する紙幣は民法上の債務ではない」
2017-07-05 Wed 15:05
「他方、日銀が会計上の債務超過に陥ることについては、筆者は本質的な問題はないと考えている。まず日銀の発行する紙幣は民法上の債務ではない。また日銀当座預金も紙幣の預け金なので、日銀の会計上の債務超過は日銀の債務不履行を意味しない。
 さらに日本銀行法は、日銀の財務状況とは独立に紙幣を法貨として規定している。法貨は金銭債務の履行手段として法的な強制通用力を持つものなので、既存の金銭債務に対する履行手段としての紙幣の本源的価値も日銀の財務状況とは独立に存在することになる。」
(日経6/30付「経済教室」、戸村肇早稲田大学准教授“金融政策の課題(下) 日銀の「出口」の損失備えを 政府との共有ルール整備”


 思わず財布からお札を取り出してみた。
 いまさらながらの「日本銀行券」だ。
 10000YENと印刷されてある。

 僕は、これ(「日本銀行券」)を借用書のようなものだと考えていた。
 日本銀行が発行する「借用書」である。
 つまり日本銀行券は日本銀行に対する債権のことだと思いこんでいた。

 この10000YEN札を保有する僕は債権者で、日本銀行が債務者であるかのように錯覚していたのである。
 だからといって、日本銀行は僕とは大違いの「資産家」だ、そんな事を意識することもなく、やり過ごしてきた。
 
 さて、筆者のいう「日銀の発行する紙幣は民法上の債務ではない」とはどういう意味だろうか。

 民法の条文を見てみよう。

・第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

 筆者のいうごとく、日銀の会計上の債務超過が発生しても、そもそも日銀は民法第415条「債務不履行による損害賠償」責任を負っていないのであるから、日銀の債務不履行問題は生じることはない、ということである。
 したがって、日本銀行券という「借用書」は返済を期待し得ない貸付けである。

 この問題に関しては、「中央銀行券の債務性と政府紙幣の特質に関する研究」が参考になる。
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新型バブルが発生している? その五
2017-06-29 Thu 07:27
 リーマンショック以降('09年以降)、中央銀行[日銀、FRB(米国連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)]はこぞって短期金利を限りなくゼロ近辺まで下げ、かってない量的な金融緩和政策で実質金利がマイナスになる状態を続けています。
 利潤が出なくなった資本主義の限界を示しているのですが、これを利用して一儲けしようというのも資本主義の論理にはかなっているようです。

 自分が見つけた方法論を持って、金儲けのプロセスを味わうエキサイティングな体験は本人にはたまらないでしょう。
 中央銀行バブルの歪みを利用し、論理を組み立て、金儲けにまい進する。

 ではユーフォリア(熱狂的陶酔感)を伴わない冷たい(冷静)新型バブルは、生き延びるでしょうか。

 国策による異常な低金利と家賃NOI利回りとのスプレットがある限りは。
 リーマンショックの時、トヨタすら流動資金に詰まったことは明記しておくべきでしょう。
 時代のある一定期間しか通用しない論理で、もっとも鋭く歪みに切り込んだ者=時代の寵児は、自ら発見した論理の反転によって切り返されることでしょう。

 勝ち残ることはできないでしょう。

 イメージですが、彼より5番手、6番手の伴走者は負け残ることはできます。

 バッファ(緩衝装置)を持つことです。
 たくさんのランダムなバッファを持つことです。
 生き残る者はごく少数者です。
 
 生き残ることを考えましょう。

 バッファというのは優位性のことです。
 いくつもの性質の異なるバッファを持つことです。

 私は設計者としていくつものワンルームに関わってきましたが、いまだにワンルーム空間構成一つとってもイノベーションが見られます。

 あるいは、バランスシート思考です。
 左と右の項目には、経営判断でそなえた実物資産リストがあり、金の出所が示されてあります。
 そこに記された記録(事実)と向き合うことで、自らも見落としていた重要な情報を見つけ、あらたな経営的な判断につなげることがあり得ます。

 土地の売買を数十回経験し、それぞれの土地の持つ個別性と需要者のニーズとの不可思議な邂逅をたびたび見ています。
 その個別性を生かせるかどうか、資産効率から考えればワンルームであっても、解は一つではありません。
 売り買いはほとんど運でしたが、それを見る目はすこしはマシになっていると思います。

 本業に助けられることもあります。
 複数収入源によって危機を乗り越えることもあります。

 次元分散です。
 たかだか賃貸業であっても想像力が生き残りの最後の砦であります。
 ゆめゆめ勉強会、セミナーの生半可で薄っぺらな知識で手を出すことのないように。
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新型バブルが発生している? その四
2017-06-28 Wed 06:09
 新型バブルとは何でしょうか。
 それは、新たなレバリッジ法だと考えることができますが、その点の分析は後述いたします。

 まずは佐藤理論との比較で見ていきたいと思います。
 自分の体験、学んだことから、バブルには大前提があるのだと考えるようになりました。
 国策です。

 バブルには、そして国策がレバリッジの成立する根拠であるという特徴が見てとれます。

 国策にのる。
 国策の持つ歪みにつけ込むといってもいいでしょう。

 バブル期のように、現在の経済社会がユーフォリア(熱狂的陶酔感)に包まれているとはとうてい言えません。
 むしろ、静的です。
 比較でいえば、熱狂に対する冷たいバブル、とでも表現しようがないのです。

 それは経済社会の一角で進行する、部分的でしかし鋭いレバリッジを秘めた資産拡大形成の動きです。
 いくつかの現象が見られます。
 自社株買い、M&Aなどもその典型的な例(同じ論理)といえるでしょうが、ここでは主として不動産「バブル」をとり上げます。

 今問われるべき国策は何でしょう。
 アベノミクスです。
 とりわけ中央銀行(日銀)がつくり出した、歪みです。

 中央銀行バブルです。

年利がすごいな

 写真を見てください。
「年利率0.65%」
 下段に掲載したYouTube「クローズアップ現代2016年12月19日」の一場面です。

 銀行から借金をし、賃貸マンションを建築、買収し、そこから利ざやを稼ぐ仕組みをつくり上げます。
 直近に現れているニュー錬金術です。
 やっていることは佐藤理論、バブル期とまったく変わりません。

 0.65%です。
 すごい。
 驚嘆いたします。

 それもほぼフルローンです。
 全額借金ですから、強烈なレバリッジを効かせる手法です。
 そのエキサイティングな投資法には一瞬魅せられます。

 しかしこれが地獄への免罪符になるとは思えません。
 キーになるのは、これが変動金利であることです。
 クローズアップ現代はその点の詳細を省略していますから、私の推測になるのですが、不動産投資ローンは変動金利です。

 マーケットは非情です。
 変動から固定へ乗り換える隙さえ与えないほどに、ボラティリティが跳ね上がる。
 そういう危うさを無視して、リバリッジを掛ける先には破滅への道が待ち受けています。

 この手法を提案し、理論化したかっこうのテキストがあります。
 玉川陽介『Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて』(技術評論社 2017/3/16)です。
 第1部「収益構造理解編」第2章「銀行融資のすべて」のなかで次のように述べています。(P.51)

“じつは、筆者は、不動産投資において、不動産は融資を得るための媒介物にすぎず、重要なのは不動産そのものよりも融資だと考えています。
 融資を中心に据えた不動産投資とは、金融政策により生じた金融システムの歪みを利益に変える「金融システムハック」のようなもなのです。”


 ハック (hack)とは便利な小技のことです。
 彼に語ってもらえば「歴史的な低金利を利益に変えるための有効な手段」(P.63)のことです。
 「歴史的な低金利」は、黒田日銀がアベノミクスの一環として断行した異次元金融緩和以下の超金融緩和政策によってもたらされました。

 彼は、ズバリ国策にのった妙手をさします。
 
 彼は、不動産利益の源泉が「高い賃料収入(純利回り)と低い低金利の差額(スプレッド)」(P.12)だと資産形成の基本を押さえます。
 それを支える基本線、基準線になっているのが「歴史的な低金利」です。
 これが歪みの正体であり、富の源泉です。

 第2部「収益シミュレーション 実践編」はよくできたExcel版ですが、これが通用する期間はたぶんに歴史的であることを指摘しておきたいと思います。
 私は、国策が破綻しないかぎりと限定を付けたいと思います。

 週末は仙台を旅行します。
 いちおうのまとめとして、「新型バブルが発生している? その五」をアップしてから出かける予定です。


クローズアップ現代2016年12月19日
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新型バブルが発生している? その三
2017-06-27 Tue 06:38
 佐藤理論は、毎月の元金返済分+金利支払以上に家賃収入があれば成り立つ、単純資産形成論ではありません。
 店子からのインカム・ゲインによって、地道に(ゆっくり)資産形成をはかる、のどかな理論ではないのです。
 資産拡大形成論です。

「拡大」がポイントです。
 資産形成のスピードをどうしたら高めることができるか。
 彼自身のテーマは彼をとりまく投資家の野望でもあったのです。

 時代は資産インフレ下にありました。

 株や不動産などの資産の値上りがつづく時代です。
 キャピタル・ゲイン(含み資産)の増加によって、土地は何の努力もなしに(外部環境の変化だけで)、一方的に担保力を付けて行きます。
 この増大した担保力を借金というレバリッジにかえて、資産拡大をはかることに彼の真骨頂がありました。

 亀のような歩みしか持たないインカム・ゲインに対し、増大する担保力と資産拡大を実現する借金によってテコを効かせていく。
 彼の錬金術の核心もまたレバリッジの手法に秘密があったのですが、それ以上ではなかったということもできます。
 損益通算制度、事業用資産の買換え特例の活用は絢爛たる理論に見えましたが、副次的なものにすぎません。

 1989年大納会、日経平均はピークをつけます。
 3万8915円です。
 
 翌年三月、大蔵省(当時)が不動産の総量規制を通達し国策の転換が図られると、一気に「バブル崩壊」へと局面が進んでいきました。
 株価が反転し下落の足を強めていきます。
 流動性の高い株に比べ、地価の下落は遅行しましたが、九十年代を通してしだいに牙をむくようになります。
 
 トリガーは通達でしたが、そこから先きはコントロールの効かない負のスパイラルがはじまっていました。
 落下が落下法則に従順であるように、人と社会の意志とは独立した自然史的過程をたどっていきます。
 平成不況です、失われた二十年の始まりです。

 個人的にはどうしたか、ふれておきましょう。
 事実だけ列挙しておきます。
 
 貸家はすべて売却。
 工場を撤去し宅地として売却。
 小倉庫売却。
 別荘を売却。
 中小企業退職金を取り崩し。
 預貯金をはたく。
 生命保険をすべて解約。
 ・・・
 三ナンバーから5へ。

 考えつくありとあらゆる手だてをこうじ、借金の返済に充てました。

 資産デフレ時代がおとずれていたのです。
 国策の反転とともに拡大理論は破綻しました。
 自分の資産はぶくぶくの借金という脂肪の塊・・・その時時代が変わっていたことに始めて気づくのでした。
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新型バブルが発生している? その二
2017-06-26 Mon 09:33
 日経平均はすさまじい勢いで上がっていたが、どこか遠くで行われている空中戦のようで実感がなかった。
「日経平均という株」が取引されているものと思いこんでいたし、実際それが(日経225先物)取引されるようになった1988年9月頃にはNTT株上場フィーバーで庶民も株に手を出すようになっていた。

 身近だったのは地価のほうだったと思う。
 地価の値上りはすさまじかった。
 いくらで売れた、買った。そんな話がいくつも流れていて、それが自分の思っていた地価とかけ離れた、飛び抜けた数字であって、なぜかワクワクしたのを覚えている。

 一切は国策の結果だ。そう認識したのはずいぶん後のことであった。短くまとめておこう。

 ’85年9月22日のプラザ合意によって各国の市場でドル売りが殺到、円ドルレートは1ドル=242円から一年後には150円台の円高をつける。
 日銀は円高危機論に押され、’86年1月5.0%から五回にのぼる公定歩合の引き下げを行い、2.5%という空前の金融緩和政策でのぞんだ。
 東京の住宅地地価は’87年22%、’88年69%、’89年33%、’90年56%という異常な値上りを見せた。
 日本のGDPが400兆の時代、’86年から’89年に発生した株・土地のキャピタルゲインは1452兆円にのぼった。

 本業を押しのけ財テクに走る企業。
 それをまねて個人投資家が財テクをはじめる。
 そんな時代だった。

 おく病な一庶民だった。 
 自分も資産をつくりたい。
 財テクを学んで1日も早く参戦したいと思った。

「バイブル」が必要だった。

 僕がであったのは佐藤正和『不動産財テク原論』(1987年12月15日第一刷発行)だ。
 奥付に記したエンピツ書きをみると、’88・3/24読了とある。
 すでに賃貸アパート事業を手掛けていたが、確信を持ってそれに踏み込むには十分すぎる理論的支柱になった。

 胆は何か。
 自分でもできる財テクのエッセンスを引き出したかった。

 後悔もあった。
 自邸をつくったことだ。
 資金を固定してしまったことに気づかされる。

 自邸のローンを返済する資金は、本業やサラリーから出さなければならない。
 資産形成が完成するのは、自分が老年をむかえるはるか先だ。
 賃貸アパートローンは店子のフトコロがまかなってくれる。


 スピードがちがう。 
 これが佐藤正和理論の要諦だった。
 個人財テクによる資産拡大形成理論の胆であった。

佐藤の不動産財テク原論
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新型バブルが発生している? その一
2017-06-25 Sun 09:34
 新型バブルに注目している。
 それを述べる前に、前回のバフルを振り返っておきたい。
 自分が体験した「バブル」がどんなものだったか、実録から始めるのが適当だろう。

 はじめて貸家事業に手をそめたのは昭和五十九年(1984年)だった。
 三十六歳、長男が小学校二年のころだ。

 次の年伊豆に別荘をつくった。
 二軒目の貸家を手に入れたのは翌々年昭和六十二年(1987年)、その翌年(1988年)とそして翌々年(1989年)には賃貸アパートを立続けで建設した。
 自邸をつくったのが平成三年(1991年)四十三歳の時、翌々年(1993年)にはさらに賃貸アパートを建築し、同時期横浜反町にワンルームを投資物件として購入した。

「バブル」を意識していた?
 いいや、「バブル」という言葉さえなかった。

 個人が持つデータベースには限界があるから、限られた範囲であることを断っておこう。
 僕が持っているのは毎年改訂される『朝日キーワード』だ。
 1989年版から2015年版まで備えている。

 現代を理解するためのキーワードを選定し、解説・問題点・展望を見開きページに詳述したものだ。

 『朝日キーワード 1991』(1990年4月20日第一刷発行)に「バブル」はのっていない。 
 手持ち資料の中で「バブル」というキーワードが初出するのは、『朝日キーワード ’92〜’93』(1992年4月20日第一刷発行)からだ。
 それらの間に出版された『朝日キーワード 1992』があるようだが、手持ちのなかにはない。そこに初出しているのかもしれない。

 また、講談社発行『昭和 二万日の全記録』全十九巻(平成三年二月二十八日全巻刊行)の「総牽引」にも、「バブル」の文字はない。

 「バブル」というキーワードはなかった。
 それは「バブル崩壊」によって、バブルが認識され、命名されたのである。

 そこにはこう記されてある。
“バブル崩壊 バブルとはあわのこと。株価や地価が、思惑や投機による取引であわのように膨れ上がったのがバブル現象で、金融引き締めが働いて株価が下がり、地価も上昇が収まりはじめ、含み益(取得時の価格=簿価=と時価との差額)が小さくなり、1990年後半から91年にかけて、実態のないバブルが崩壊を始めた。(以下書省略)”

 失われた20年は、ここにはじまる。
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そしてお友達しか救えなかった、ドリル「国家戦略特区」
2017-06-21 Wed 12:11
 日本は成長する。
 成長できる。
 何かが間違って成長できないのだからそれを正そう。

 幻想はたくましく生きのびてきました。

 「岩盤規制にドリルで穴を開ける。」
 ドリルは「国家戦略特区」です。
 安倍首相もそれを支持する国民も経済成長「幻想」病から抜け出せないのです。

 日本国のGDPが二十年以上にわたって500兆円をうろちょろしている事実を、もう何度も書いたのでいささかウッザリしているのですが、彼も彼を支持する国民も成長幻想を捨てきれないでいます。

変わらない日本

白川メモー成長力の強化のためにー

マイナス金利の原論、段階論、現状論

 500兆円を維持するために、とうとうの借金は1000兆円にふくらんでしまいました。
 今生きている国民のふところは痛みません。
 借金はツケを回してやり過ごそという算段です。

「本来自分がこうむる不利益を他人に押し付ける」のです。
 では他人とは誰か?
 未来の自分、そして子供、孫の世代です。

 その結果は悲惨でしょう。

 基本的には高度成長期で養われた妄想に対して、それが誤った認識であるとは考えていないのです。
 妄想に固執しているのです。

 自分達が「病」気だという認識がありません。
 これまでの政府がうまくやらないからだと思っている。
 安倍政権も基本認識が間違っているのですから、なにをやってもほころびが出てきます。

 加計問題は成長幻想の一産物です。

「美容院はたくさんあって足りているのにナンでまた美容師つくるのかね。」
 たしかに美容院は飽和しています。
 ですが、飽和しているのは美容院だけではありません。

 ありとあるゆる業種、業界、産業で飽和しているのです。
 飽和し密集している所を無理にこじ開け入るしかない。

 足らないものがあればそれを埋めてしまうのが経済の論理です。
 足らない=供給不足ですから、チャンスです。
 では、足りていたらどうするのか。

 加計問題は安倍側近官房副長官が関与したお粗末な結末をむかえています。
 お友達しか救えなかった。
 ドリル「国家戦略特区」は、加計学園に無償で36億円の土地譲渡を引き渡しただけで、断末魔をむかえているのです。
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エネルギー収支比を研究するためのマンダラ・ノート
2017-06-15 Thu 14:51
 そろそろ見取り図を描いておかないと、どこへさまようものか分かったものではありません。
 自分の現状知と「未」知との落差を見える化するためのツールとしてマンダラノートを使っています。
 なにをどのくらい学習するか、研究の対象をどう絞り込むか、見積もっておこうというわけです。

 さて、下記のブログに書いたとおり、エネルギー収支比(Energy Returned on Energy Invested・EROEI)が今一番関心をもっている中核的概念です。

水野和夫『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』をエネルギー収支比から読み解く

 ざっくとしたイメージは「ウサギを捕まえるためのエネルギーが捕まえたウサギのエネルギーより大きいならば、 いくらウサギがいたとしても、インディアンは生きていけない。」と記したとおりです。
 水野和夫氏は、同書P.227「図20 エネルギーの崖」に基づいて、次のように述べています。
(水野氏が掲載した図表は著作権がありますから、氏が作成に利用した原図を代用にかかげておきます。)

「エネルギー収支比のわるいシェール・オイルをあてにするようになったということは、化石燃料に依存する社会が限界に近づいていることを示しています。」


出典=Why EROEI Matters: the Role of Net Energy in the Survival of Civilization

 水野氏はシェール・オイルのエネルギー収支比が2に近いことを指摘していますが、原典には「シェール・オイル」の表示はありません。
 エネルギー収支比の算定には「2〜4」「3〜5」と諸説ありますが、いずれにしてもエネルギー収支比の低いシェールオイルがエネルギー収支比の高い在来型石油からシェアを奪う「シェール革命」の正体は、アメリカの覇権など政治や経済的利害がからむ問題であることはうっすらと見えてきます。
 「化石燃料に依存する社会が限界に近づいていることを示しています。」とだけとは言えないのですが、これはこれでおもしろい問題にしても、僕の手に余ります。

 まずは自分の能力に応じて選択と集中です。
 熱力学を復習しておかないとエネルギー収支比を正確に把握することはできなさそうです。

 そこで、たとえば以前読んだジェレミー・リフキン著・ 竹内 均訳『エントロピーの法則―地球の環境破壊を救う英知』は熱力学の第二法則について次のように述べています。

“熱力学の第二法則、つまり「エントロピーの法則」は、次のように表されている。
「物質とエネルギーは一つの方向にのみ、すなわち使用可能なものから使用不可能なものへ、あるいは利用可能なものから利用不可能なものへ、あるいはまた、秩序化されたものから、無秩序化されたものへと変化する。”

 これに対して、次の指摘がなされています。(以下出典省略)
“"Entropy is disorder" is an archaic, misleading definition of entropy dating from the late 19th century before knowledge of molecular behavior, of quantum mechanics and molecular energy levels, or of the Third Law of thermodynamics.
「エントロピーは無秩序である」とは、分子動態、量子力学、分子エネルギー準位、または熱力学の第3法則を知る前の、19世紀後半のエントロピーの古風で誤解を招く定義です。”
“Defining entropy increase as a change from order to disorder is misleading at best and incorrect at worst.
秩序から無秩序への変化としてエントロピー増加を定義することは、誤解を招きやすく、最悪では間違っている。”
“An unfortunate conflation of the concepts of entropy and disorder has resulted in widespread misunderstanding of what thermodynamic entropy actually means.
エントロピーと無秩序という概念の残念な結びつきは、 熱力学的エントロピーが実際に意味することの広範な誤解をもたらした。”

 そこで、第一の目標は、竹内 薫『ファインマン物理学」を読む 力学と熱力学を中心として 』を基本テキストに再学習に取り組むことです。
 
 そうしたあれやこれやを検討し、下の見取り図=マンダラ・ノートを描いてみました。

Mandala-note:エネルギー収支比(EEROEI)研究の見取り図
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二十六年間手入らずの家の秘密 その三
2017-06-13 Tue 11:11
「屋根材を支え、その勾配を決めているのが垂木(たるき)という部材だけど、言葉で説明するよりは、まずは写真を見てもらうのが早いかな。」



IMG_3088.jpg

「どこで撮ったの。」
「日月で奈良へ行った。修学旅行の復習みたいな、ありきたりのコースだけど、最初の一枚は法隆寺・夢殿の軒裏を撮った。鼻隠しがない。垂木の小口がむき出しで外気にさらされているのが分かると思う。もう一枚は泊まった旅館の軒先をベランダから写したもの。」

「鼻隠しがあるとないとでは何が違うの?」
「雨で垂木の先端がまっ先に腐食するものだから、俗にいう破風板(はふいた)、正確にいえば鼻隠し(はなかくし)という板で小口を隠す工夫がされている。面積で見ればわずかなものだけど、この部分が汚れてはげてくると、ずいぶんとみっともないものだ。」
「わずかっていわれてもイメージできないな。」
「巾が12㎝(0.12m)だとしてその全長が50mだとすれば、6㎡。一般の住宅はその程度だろうね。」

「屋根を見上げてまっ先に気になる部分だね。君の先代は鼻隠しにカラー鉄板を巻いていたね。」
「アパートが初めだったらしい。わずかな塗装作業のために足場を組まないといけないから、メンテが高いものにつくから、お施主様には重宝がられたらしいね。」
「ひと手間かければ後々メンテナンスに苦労が少なくなる。」

「防火性能を考えて石綿板に塗装がごく普通の仕様かもしれないが、そこがまっ先にはげてくるから、家自体がみすぼらしくみえてしまう。」
「これもポイントの一つだね。」
「そう、外壁はサイディングになってから耐久性が向上したから、先に鼻隠しがやられてしまう。ひと手間かければ節約になるし、後々見栄えが違う。」

「どうして手を抜くのかな。」
「積算したとおりわずかな面積だから、建築費全体で見れば微々たるものなんだ。」
「でも、やらない。」
「・・・・・」
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二十六年間手入らずの家の秘密 その二
2017-06-10 Sat 09:01
 友人Kの前回ブログに対する反応はいまいちでした。

二十六年間手入らずの家の秘密

「勾配をきつくすれば屋根の保ちがいいことは分かった。しかし屋根代三割アップだからな。」

 解説が足らなかったようです。
 彼との対話を再現しながら、もう少し突っ込んだ話をして見たいと思います。

「Kさ、屋根工事は建築費全体の何パーセントか分かるか。」
「分かるわけないだろう。」
「そこがウィークポイントになってるんだ!!」

「ところで屋根に特別な設備はあるかい?」
「樋ぐらいかな。」
「そうだろう。空調設備がいるわけでもないし、給排水工事や機器が設置されるわけでもない。」

「なにがいいたいのさ。」
「ずばりいうと、屋根工事は建築費全体の3パーセント、骨組みの工事を入れてもせいぜい5パーセントなんだ。」
「どういうこと。」

「仮に5パーセントとして、それが1.3倍になっても建築費全体に対する影響は1パーセントちょっとなんだ。」
「厳密に教えてほしいな。」
「残りの95%が変わらないとして、屋根工事だけが1.3倍になっても、6.5÷101.5=6.40%。増加した建築費全体で見ても、1.4パーセント増額するだけだ。」

「もう少し具体的にズバリ言ってほしいね。」
「3000万の総建築費だとする。その1.4%は、42万円だ。」
「うーん、微妙・・・」

「で、26年間屋根が手いらずだ。7〜10年毎にメンテナンスすることを考えたら安いと思わない。」
「安いと思うよ。でもさ、その数十万が痛いのよ。大きな買物だからな。」
「屋根の話は分かりやすいからとり上げたんだけど、この考え方を家全体に適用していったらどうだろう。」

「外装に後々手がかからないように、少しずつ工夫するっていいたいんだろう。分かりましたよ。」
「それは一つの例題にすぎない、もっと大事なことは総予算から考えてみることなんだ。」
「いきなり難しい話になったね。」

「自分の家を後々手のかからない、その目的を遂行するためのシステムだと考えてみることだ。」
「快適さと、利便性とか、おれの欲求は多いよ。」
「Kの要求はいったん押さえてみてくれよ。一つの目的に絞り込んで、まずはそれに手をつけてみることだ。」

「外気にさらされている表面、外装だね。人でいえば肌だ。この手当をしっかりやろう。屋根、外壁、サッシュ、破風、水切り、基礎かな。ここに重点的に予算を配分していく。」
「二十六年後なんて想像もできないからな。」
「だから目的をはっきりさせないと、後々手痛い目にあうことになるのさ。」

 Kとの話は長く満足のつづく、古びない、薄汚れない内装の話に移っていったが、それはまた後日。
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