晩春、旅装整う
2017-05-06 Sat 08:43
 先月一回忌の法要でしたのに、本日は母の祥月命日。
 二キロ半の道程は人も車もまばらの早朝お墓参り。
 風も凪いでいてお線香がけむる。

 短い一年だった。

 あさってはスペイン。
 ツアーの同行者は十七名。
 ゴールデンウィークのけん騒をさけるのだから、たぶんご同輩だろう。

 添乗員さんから「男性七人、女性十人」とのこと。

 小松茂美『利休の死』は読みおえた。
 飛行機は間がもたないから、文庫本と新書判を二三冊携行する。
 帰ってから文学座『青べか物語』の観劇にいくから山本周五郎一冊。

 友人と渋谷のブラッセリー クール (brasserie Coeur) でランチ。
 夜に行ったことがない。
 帰ってからの楽しみ。



 友人からいただいた、こしあぶら、筍。
 こしあぶらご飯、筍煮物の夕げ。

IMG_1346.jpg
 
 好き嫌いがない。
 どこでも順応する。
 寄る年波だけが心配、体調を崩さないよう気をつけよう。
 
 春蘭が咲きほこっている。

IMG_1354.jpg
関連記事
スポンサーサイト
別窓 | 読書趣味おしゃれに旅健康 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
初学者にやさしい戸栗美術館には学びのツールが一杯
2017-05-05 Fri 10:44
 同じ陶磁であるのですが、前日は見ることのできなった所が今日は見えています。
 (見えてきたように思えます。)
 連休の三日、四日とつづけて『開館30周年記念特別展 柿右衛門展』を訪れたのは、初学者にはいい勉強になりました。

 展示の深い意図は分かりませんが、二つの作品をくらべて観ることができます。
「開館30周年記念特別展 柿右衛門展 出展品リスト」から、双璧された製品を取りあげます。

74 色絵 甕割人物文 八角皿 
75 色絵 甕割人物文 八角皿 

 前者が伊万里(柿右衛門様式) 江戸時代・17世紀後半、後者がドイツ・マイセン窯・18世紀前半の製品でマイセン窯が前者(柿右衛門様式)を写したものです。

 会場で配布されている「展示解説シート 解説分類:古伊万里色絵」はA4の裏表に解説が付されたものですが、ポイントが簡略に示され、初学者の展示物を観る目もいっそう深まるよう工夫されています。
 ひとつひとつ読み解きながら、二つの製品を見比べてみようと鑑賞の焦点をしぼった二日目の課題です。

「初代柿右衛門が赤絵の焼成に成功し、1647(正保4)年には、製品を長崎で売ったといいます。」
「オランダ東インド会社による海外輸出事業は1659年以降に本格化し、これに伴って西洋の需要に合わせた絵付け、器形の製品が生産されてきます。」

 前者がヨーロッパに輸出される背景はこうです。
 明朝から清朝への王朝交代期の内乱、その後中国を治めることになった清朝による貿易制限のため、17世紀には中国製品の輸出がストップし、東インド会社はその代用品として肥前磁器を輸入するようになります。
 初期伊万里は景徳鎮の古染付を写し(手本に)、新生染付磁器を製造の中心におくようになります。
 矢部良明『日本陶磁の一万二千年』(平凡社・1994/01)は次のように記しています。

“開窯当初から世界最大の窯場、景徳鎮窯を手本として製品をつくる。ちなみにオランダ東印度会社の実務記録をハーグ市の国立公文書館に尋ねると、寛永十四年(一六三七)には中国商船だけで一年間に七五万個もの中国陶磁を日本へ運び込んでいることを記録している。(中略)伊万里焼の成長期はまた中国陶磁の大量輸入期であり、日本の需要はその両者を併呑してしまっていたようだ。”

 さらに俯瞰を拡大してみましょう。
 当時造船技術で世界をリードしていたのはオランダ人でした。
 カール・シュミット『陸と海と 世界史的一考察』(慈学社出版・2006/11)は次のように述べています。

“それは横帆のあるボートで、古い帆船のようにただ追い風を受けて走るという単純なものでなく、風を横から受けて帆走し、従来の帆とはまったくちがったやり方で風を利用することのできるものであった。(中略)「中世の航海術は壊滅的に崩壊する」と舟型発展史の研究家ベルトハルト・ハーケドルンはこの事件について述べている。これは陸と海の関係の歴史における真の転回点である。”

 グローバル化の始まりです。
 17世紀初頭、オランダ(ネーデルラント連邦共和国)は世界初の株式会社といわれるオランダ東インド会社を設立し、1634年江戸幕府の鎖国政策の一環として長崎に築造された人工島出島のもと、1641年から1859年まで対オランダ貿易が行われます。
 背景を知ることで、初学者の気持は空想へと導かれます。

 さて、「展示解説シート」にはつづいてこう記されています。
「中でも中国・明時代の北京赤絵を手本とする「地紋つぶし」や「窓絵」の構図から、柿右衛門様式への芽生えが窺えます。」
 同館の学芸の小部屋「2015年3月号 司馬光甕割図」に前者の画題について記されています。

“主題となるのは中国の故事「司馬光甕割」の図。北宋の政治家・司馬光の幼い頃の次のようなエピソードが元となっています。「司馬光が幼い頃、友人と遊んでいたら、その内の1人が誤って大きな水甕に落ちてしまった。その場にいた多くの子供たちが事態に驚いて走り逃げてしまう中で、司馬光は石を投げて甕を割った。水が流れ出て、甕に落ちた子供は命を救われた。」大切な甕よりも友人を慮り、咄嗟の判断で命を救った幼き司馬光の冷静さをあらわすと共に、いつの世も変わらぬ命の大切さを伝えてくれる逸話として広く知られ、江戸時代においても、陶磁器、絵画はもちろん、日光東照宮・陽明門に施された彫刻や小袖の雛形本などに画題として採用されたことが確認されています。”

 また、後者の由来については同館の学芸の小部屋「2017年4月号 第1回:マイセンにみる柿右衛門様式」の解説からたどることができます。
“少し遅れて東洋陶磁器の魅力の虜になったザクゼン候アウグスト強王(1670〜1733)は、蒐集当時既に生産が下火になり、入手が困難となっていた柿右衛門様式の伊万里焼をとくに愛好しました。彼は錬金術師であるベドガー(1682〜1719)に命じて磁器の製造技術を研究させ、1709年、ベドガーは白磁磁器の焼成に成功したとの報告書を提出します。これを受けて1710年にはマイセンのアルブレヒッツブルク城に磁器工場を設け、西欧初の白磁磁器の生産がはじまるのです。その後、1720年 にウィーンからマイセンへ招聘された絵付師ヘロルト(1696〜1775)によって色絵の技術が確立され、中国の五彩磁器や古伊万里の模倣品が多量に製作できるようになりました。”

 この二つを比較して次のように述べています。
 一部分の引用です。
 (詳細はネットで見ることができます。)
“また、作品の印象を決定づける大きな要素として、人物の顔の表現が挙げられます。伊万里焼のものは石を投げる人物や甕に落ちた子供を助けようとする人物の表情に感情が見て取れ、子供は眉をハの字にして、助けられたことに対する安堵の表情が窺えます。対して、マイセンに描かれた人物は表情が読みとれず、甕に落ちた子供もかろうじて表情をつくってはいるものの、決まった感情を表しているようには見えません。このことから、伊万里焼の「色絵 甕割人物文 八角皿」にみえる人物の感情がマイセンには見られず、単純に引目鉤鼻の東洋的な顔を表現しているようにみえます。 ”

 戸栗美術館は初学者にやさしい美術館です。
 ただ展示するだけの美術館・博物館が横行する中、初学者であっても少しでも深く鑑賞できるよう、配慮のいきとどいた美術館です。

〈パンフ・シート類〉
・出展品リスト
・展示解説シート
・パネル展示資料
・展示会概要チラシ
〈学芸員等による展示解説〉
・展示解説 毎月第2週・第4週の水曜日と土曜日
・フリートークデー 毎月第4月曜日
・特別企画
〈ネット〉
・学芸の小部屋
・とぐりのぶろぐ 戸栗美術館公式ブログ
関連記事
別窓 | 読書趣味おしゃれに旅健康 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
射精の相手を誤った筒井康隆の勃起力
2017-05-02 Tue 08:06
 がっかりした。

 そう書いてみたが、自分の気持を表せているとは思えなかった。

 筒井は毒をはいたつもりかもしれないが、汚らしい。
 彼は、長嶺大使がまた韓国へ行くのは「慰安婦像を容認にしたことになってしまう」と書いたが、ぼくには「容認」という言葉が気になっていたのだった。
 役人用語だ。

“法律で、他人の行為をとめるべき立場にある者が、これを知りながらそのまま認めることをいう。
(『精選版 日本国語大辞典』から)”

 韓国へ出戻りしたのは大使だ。
 問題は容認したと同等の行為をした日本政府にある。
 であれば「射精し、ザーメンまみれに」すべきは長嶺大使であり、それを任命した岸田外務大臣であり、何より安倍総理大臣の面にぶっかけなければならない。

長嶺大使

 ぼくは役人ではないから、「容認」する資格もないが、一国民として慰安婦像を立てるのはやめてほしいと思っている。
 いつまでも過ちをとがめられるのにいらだつ。
 いささかうんざりもしている。

 そうであっても、銅か何かでできている慰安婦像と同等に、女性をモノとして観ていなければ吐けないTweetだ。
 
 一部は的を射ている。
 旧大日本帝国軍人の射精問題だからだ。
 そこをパロって欲しかった。

 荒んだ気持だけしか伝わってこない。
 パロディーにも毒にもなってない。
 それがざらっとした嫌な感触につながっていた。

 ぼくも六十九の老人だ。
 彼の年代の勃起力がどれほどのものか想像はつく。
 八十二になる老人がチンチンを振り立てて、慰安婦像をザーメンまみれにする狂態が可能ならぼくも見てみたい。

 「皆」のなかには本人も含まれているのだろうが、できないことを言い立てるのははずかしいことだと思う。
関連記事
別窓 | 事実データ&思考 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
縦にひろがる花畑、都市型住宅パティオの手法
2017-05-01 Mon 07:11
 玄関先ハナミズキのピンクがうすらぎ、木香薔薇が満開になった。
 紫蘭(シラン)が開花しはじめていた。
 今年は春蘭(シュンラン)を観ていない、枯れてしまったか。

 もう車はのらないのだから、玄関先につづく駐車スペースを庭にかえていいかも知れない。

縦にひろがる花畑1

縦にひろがる花畑2

 連休明けのスペイン旅行で訪れるコルドバのパティオ祭りは参考になりそうだ。
 一足先に「知られざるスペイン文化を体験 花が溢れる華麗なパティオ祭り」をBSでみたが、中庭を囲む壁に鉢植えを吊している。
 中庭はテラスとしてつかっているようだ。

 この手法で駐車場をパティオ風につくりかえることができそうだ。

 都市で失われた「土」がよみがえる。

 連休もふだんの生活とかわりはないが、旅の支度を急がないといけない。
 モノではなく、知恵を仕入れるための。

関連記事
別窓 | 読書趣味おしゃれに旅健康 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
アメリカンドリームのピュアーな形態、ブロジェクトランウェイ
2017-04-29 Sat 08:23
 プロジェクト・ランウェイ第14シーズンがはじまった。
 WOWOWに加入している理由の一つがこの番組だ。

 エピソード1。
「あなたはどういうデザイナー?」
 コンペ(competition)がスタートした。

 三人に目をつけた。

 建築とファッションを融合させる、マーリン・ダビシエは建築を専攻していたデザイナーだ、さすが「構造」を生かしたデザインに。
 「何事にも自信がない」というおデブさんのアシュリー・ネル・ティップトンは、彼女が受けてきた「抑圧」をチャーミングなデザインに昇華。
 大胆なカットで構成したドレスのローリー・アンダーウッド。

 “Genius displays itself even in childhood.[栴檀は双葉より芳し]”

 デザイナーが成長していくプロセスを生で観ることができる。

 番組を楽しむひけつは、USAで放送済だからといってけっして結果をのぞき込まないこと。
 先を急がない。
 彼らの成長を見守ること。

 一話一話と積み重なっていく、彼らの成長物語に面白味がある。
 才能が現れ、才能が「ない」こともあらわにされる。

 アメリカンドリームのピュアーな形態がここにある。

 “Hard work, creativity, and skill are just the beginning. ”

 テーマが与えられ、数十分でスケッチ画を描き、生地を選定し、型紙をつくり・・・ランウェイでお披露目する一着を仕上げるのに与えられるのは一日だ。

 助言役(mentor)かいる。
 ティム・ガン(Tim Gunn)だ。

 “Make it work!”
 「形にしろ」は名訳だ。

 “it”はデザイナーのアイディアのことだ。
 アイディアから形への飛躍。
 形、形、形。

関連記事
別窓 | 読書趣味おしゃれに旅健康 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
五島美術館『春の優品展 歌仙と歌枕』、花も団子も
2017-04-28 Fri 06:17
 年会員になってからは季節毎に訪れるようになりました。

 徒歩で五六分ですから回り道し、上野毛駅から五島美術館まで周辺の邸宅を見物しながら歩きます。

 美術館の楽しみ方はそれぞれでしょうが、まずはランチ、腹ごしらえです。
 こじゃれた店もあるにはありますが、月に何回か方々の美術館を巡ります。
 基本、すべての面で「普段着」です。

 吉兆上野毛店で日替わりランチ、御飯、みそ汁、お新香。
 名前は名店と間違いそうですが、もう街から消えてしまった大衆食堂です。
 テーブルも椅子もその配置も学生時代に戻ったように感じます。

 どこの街へ行っても金太郎飴です。
 巨大なビルが小さな店をみんな吸い込んでしまって、大衆食堂やラーメン屋、それに近ごろは蕎麦屋も消えてしまった。
 あるのはチェーン店ばかりです。

 大戸屋、日高屋、吉野家、餃子の王将、すき家、マクドナルド・・・

 連休前の平日で観客も少なく、お庭も独り占めできます。
 庭園からは真西の方向が開けていて、二子玉の高層ビル群が望め、なぜだか空が意識できて、深呼吸したくなります。
 今日はツツジがみごと、庭園はたぶん日々かわっていくのでしょうね。

五島美術館02

五島美術館03

『春の優品展 歌仙と歌枕』は平安・鎌倉時代の古筆が中心です。
 乱筆悪筆でワープロ専用機が出るまで字を書くのが苦手でしたから、いまだになじめません。
 どうしても避けてしまいます。

 さて「歌仙と歌枕」に向かいます。
 お庭にまっ先に出たのも、「古筆」を観ても何がよいのやら、まったく手も足も出ないからです。

 陶磁がそうでした。
 矢部良明『日本陶磁の一万二千年』をしっかり学習してからは、古本ですが『日本陶磁全集』『日本の陶磁』『図説茶道体験』を辞書代わりに、その都度引く。
 それで少しは楽しめるようになったと思います。

 まずはきっちり歴史から学んでいくしかありません。
 感性などと分けの分からない「もの」ですましていると、楽しめるものも楽しめなくなります。

 そういう体験があるものですから、このままスルーしつづければせっかくの楽しみにどこか偏りが出そうです。 
 何か手引きはないか。
 以前からそう考えていたのですが、適当なテキストが見つかりません。

 ミュージアム・ショップで立ち読み。
 大東急記念文庫が過去に行った文化講座の講演録をまとめた『文化講座講演録 万葉集1 -万葉集の形成-』、
 これに小松茂美「万葉集の古筆」がのっておりました。
 
 固そうな学術本のようですが、「古筆」の一文字を頼りに求めました。

 基本の基本を教えてくれているのですが、分かりやすくするために、薄めていません。
 講演ですが、かえって活字になって、音ではなく、字から学べるのも大変貴重です。
 音だときっと意味を取れていないでしょう。

 この本が出版されたのが1975年です。
 内容的にはたぶんさわり、ガイダンスなんでしょうが、それでは片づけられない、学識というものなんでしょう、ふくらみがあって五十頁を一気に読み進みます。

 これをたずさえていれば少しは眼が開かれるかもしれません。
 少しずつでも「古筆」を観て自分も成長していけそうです。
 うんちくおじいさんにならないようを気をつけて、自分のなかに蓄えていく。

 美術館は利用しようによって帰宅してからも充分楽しめますね。
 長く、ゆっくり楽しめます。
 そして次はもっと楽しめるでしょう。

五島美術館04

五島美術館01

関連記事
別窓 | 読書趣味おしゃれに旅健康 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
La Sagrada familia
2017-04-27 Thu 07:01
 フランス・ポワッシーにあるル・コルビュジエ「サヴォア邸」を見学することができたのは、たまたま旅の仲間が持っていたGPS機能のついた小型のナビのおかげだった。
 それにはフランスの地図が組み込まれていて、地下鉄を乗り継いでからは、電波が途切れないようにナビを先頭にかかげながら探検したものだった。
 八年ほど前だから、まだスマフォもgoogle mapもなかった時代だ。

 できるなら、スイス・コルソーヴェヴィにある「レマン湖の小さな家」も観たいが、たぶん機会は訪れないだろう。

 連休の終わる七日羽田空港内ホテルに泊まり、翌早朝スペイン旅行に立ち、二十二日に帰る。

 旅の目的はサクラダファミリアを観ること。
 バルセロナにあるアントニオ・ガウディの作品のいくつかも観ることができる。
 探検の気分はもう味わえないだろうが、周辺の散歩は楽しみたいと思っている。

 La Sagrada familia

2026 We build tomorrow | Construïm el demà | Construimos el mañana


BARCELONA - SAGRADA FAMILIA. HD


Acceso 360 a los lugares patrimonio de la humanidad 4 - San Petersburgo - Documental


Acceso 360 a los lugares patrimonio de la humanidad 2 - La Sagrada familia - Documental

関連記事
別窓 | 読書趣味おしゃれに旅健康 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
ほろ苦き老後の助走は四十代にスタートする
2017-04-25 Tue 09:09
 老後が少しずつ分かりかけてきた。

 3月に左足のふくらはぎが肉離れを起こした。
 なかなか直らなかった。
 完治したものと油断し、さらに悪化した。

 日常生活に支障がなくなるまでには、一ヶ月を要した。
 今までにない体質の変化、わずかだが肉体のおとろえに気づいくようになった。

 決定的な何かである必要はなかった。
 実際、深刻な問題であれば正直向き合うのがたいへんだろう。
 あるかないかつい見逃してしまいそうな、微細な変化である。

 できたこと、できたはずができなくなる。
 そうしたことがしだいに明確な形をとって現れてきた。
 老後を俯瞰するにはまだまだ経験不足だろうが、目のまえに現れてくる現象から学んでいかなければならない。

 それに比較すれば老後のファイナンスは簡単明瞭である。
 この歳ともなれば、そうしたことはほぼ決着済だからだ。
 もう手の打ちようがないのである。

 大まかにくくれば「年金+預貯金+自宅」がすべてで、それ以外の収入源は断たれている。
 一介の自営者には望むべくもないが、企業年金などが付いていればさらに御の字だろう。
 おおかたがこんな所だろう。

 これをフレーム化(構造化)してみれば以下のとおりだ。

[老後収入源]
 ・年金  唯一の収入源
 ・預貯金 老後の取崩資金、毎年赤(取崩分)が計上される
 ・持家  終の住処、手放せば代わりが要るからせいぜい「最終決済資産」「相続資産」

 このフレームは歴史的なものだ。
 筆者の世代である団塊が高度成長期に生み出したライフスタイルである。
 老後が定年後に10、20年と続くことなど想像されていない時代である。

 団塊が生まれた1,950年頃は平均寿命が六十そこそこだった。
 七十を超えたのがそれから十五年後である。
 今日では男女ともに八十を超えてきている。

 二十年伸びた。
 自らが老年に入って気づく。
 長い老後だ、と。

 そしてその機能不全に気がつく、肉体の老化を見透かすように。
 「年金+預貯金+自宅」フレーム水準に達しても、不足を感じる。
 構造から機能に視点を移してみると、その欠陥があらわになる。

 何が足らないか?
 ゆとりだ。
 余裕だ。

 「年金+預貯金+自宅」フレームの限界である。
 このフレームの機能の欠陥は短い老後を予定していることだ。

 それ以前に四五十代に資産形成ができていなければ、この水準にも達しない。
 「年金+預貯金+自宅」に達していても、節約しかやりようがない。
 入りと出を管理するぐらいのことだ。

 裕福には切りがないが、余裕のある生活は明確に目標にできる(できたはずだ)。
 多少とも「年金+預貯金+自宅」以上の収入源を持てれば、老後もゆとりが持てる。
 「年金+預貯金+自宅」フレームに、もう一つ二つ収入源を加えること。

 若い読者は筆者のブログなど読まないだろうが、老後の助走は四十代には事実上スタートしている。
 しかもそれはぼくらの時代の一つの限界を超えていかなければならない。
 長い老後というテーマだ。

 ぼくの手元にはもう残っていないが、若いころの愛読書に岩波文庫で鈴木信太郎訳『マラルメ詩集 (1963年) 』があった。
 そのなかに・・・
 『ほろ苦き無為に倦じて(Las de l'amer repos où ma praresse offense)』

 この一節は、なぜだか諳んじている。

 自然のままの青空の下なる薔薇の叢の
 愛すべき少年時代を 名を求め 徒に過せし
 その名さへ今はわが疎懶の損ふ ほろ苦き
 無為に 倦じて さはれまた わが脳漿の強欲なる
 冷たき土地に 徹夜して新しき墓穴を掘らむと 頑なに
 立てし誓に 更になほ七倍も倦じ果てたる

 2,014年に岩波文庫で渡辺守章訳『マラルメ詩集』が出ている。
 『苦い休息にも 飽きて(Las de l'amer repos où ma praresse offense)』
がそれだ。

 鈴木信太郎訳が脳髄にしみ込んでいるから、受けつけなかった。
 フランス語などまったく分ない。
 韻を踏む文語体がいいというわけでもない。

 ただ習慣のようなものとしか言いようがない。

 マラルメは四十半ばで亡くなっているから、老年の「ほろ苦き無為に倦じて」は知らないだろう。

 マラルメの詩、その深淵を探るのは学者にお任せしよう。

 ぼくはこの無為が嫌なのである。
 おとろえと戦うのに、さて手一杯だ、と、倦じるのはご免なんだ。
 余裕があれば、金で「幸福」が買える。

 買うことができる。

 幸福とは何か、などとリセットする気はない。
 買える「幸福」がたくさんある。
 それがリアルだ。

 老年の無聊としかいいようのない、その程度の退屈から抜け出すにはそれが必要なだけだ。

 若者は我々の失敗から学んでください。

[参考]
「倦む、うむ」
同じことなどを長く続けていやになる。退屈する。また、あきて疲れる。
『精選版 日本国語大辞典』から
関連記事
別窓 | 半能の神お金 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
北朝鮮は不倫妄言無能フリーの最強カード
2017-04-24 Mon 07:37
 拉致被害者の早期救出を求める国民大集会、めぐみさんの母早紀江さん(81)は「何もできなかった40年は国家の恥。」と切捨てた。
 TPPはトランプの一言で吹き飛んだ。
 アベノミクスにはもう誰も触れようとしない。

 多弁な籠池の口も、権力を総動員し封じ込めた。

 非常識な妄言をはき散らす閣僚たち。
 まともな日本語すら使えない法務大臣。
 重婚ウエディング、ストーカーする政務官。

 そんななか特筆できるのは、北に対する反応は歴代政権のなかで一番迅速であることだ。

 そしていつの間にかこの国は「美しい国へ」と変わろうとしている。

 もう一歩だ、テロ等準備罪が国会で上がれば、戦前の治安維持法時代も戻ってくる。
 PKOから一気に先制攻撃まで踏み込んだ。
 先に叩く、戦争を仕掛ける論議が公然とされるようになった。

 安倍政権は何もできなかったが、いつでも戦争ができる「普通の国」にはしてくれそうだ。
 
 ミサイル&核実験。
 北朝鮮カードがあるかぎり安倍政権の支持は盤石だ。
 南がご本尊の慰安婦像を持ち出せば、ゆれていた支持率はその都度補強される。

 それは民族的DNAだろうか。
 倭国・百済遺民の連合軍と唐・新羅連合軍が戦った663年(天智2年)白村江の戦い以来の、いや、それ以前の。
 これからも朝鮮カードが安倍政権をささえていく。

[資料]
 日刊ゲンダイは次のように伝えている。
“それだけではなかった。安倍政権の本音が出たシーンがもう一つあった。質問者が民進党の階猛議員から枝野幸男議員に交代した時のこと。政府の答弁があまりにヒドイので、委員長の許可を取った上で、2人が少々相談をした。それを見ていた自民党の土屋正忠理事が大声でこう叫んだ。
「あれは、テロ等準備行為じゃねえか!」
 野党議員2人が話し合っただけで、「共謀罪」に抵触するとドーカツした格好だ。怒った階が、「どういうことだ」と土屋氏の肩に触れると、自民議員が「手を出すな」「暴力だ」と大騒ぎ。ほとんどチンピラと変わらなかった。
 それにしても、2人が集まって話しただけで「共謀罪だ」とは、この法案の実態を表したものなのではないか。
 民進党の逢坂誠二理事はこう言う。
「人が集まって、何かを相談しただけで、テロ等準備罪のイメージを抱いている人がいるということです。恐ろしいことです。与党の本音が出たということでしょう」”
出所=安倍政権が法務委で次々“本音” 共謀罪の正体が見えてきた

 以上のやり取りは、youtubeで映像は確認できたが、音声は消去されていた。
“2017.4.21 衆院 法務委員会(午前)”

関連記事
別窓 | 事実データ&思考 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
あなたは資産運用の基本手順をどう考えますか
2017-04-21 Fri 23:34
 曇天の今日は、かっこうの草むしり日和だった。
 気分は上々なのに、つまらないメールを開けてしまった。

「長生きリスク」って嫌な感じのフレーズだ。

「あなたは平均余命から見るとあと十五六年、その先もっと生きているとどうなるか考えたことあります?」
 こんな調子だ。
 稼ぐ能力、余力をなくした老人に突きつけられた最後通知のよう。

 エクセル使ってせっせせっせ節約生活しないと、「老後破産」だとおどかされ、ピンが有料老人ホームで、キリが野垂れ死といつしかイメージが固まっていく。

 そんなこんなの心理的圧制もあって、FP技能士2級資格を取得したのが10年も昔だ。
 学習に四十五日かけた。

 まったく役に立たないわけではない。
 ざっくりバランスシートで俯瞰的な把握のコツをつかめてからは、毎年作業を欠かしたことはない。
 シビア(厳密)に計算し、収入−支出構造分析表も欠かさない。

 ただし、筆者はエクセルでなにごとか計算しつくせると勘違いしてないたけだ。

 どう喝フレームと名付けたそうしたエクセル帳票は人生の一部分を設計する有効なツールとは思うが、しょせん一老人の断片設計にすぎないものと心得ている。
 国家財政破綻リスクとか、地政学的リスクのほうが筆者とこの国の命運をにぎっていると認識している。

 以下に「資産運用の方針」の目次だけ掲げるが、参考になるだろうか。
 資産運用の基本手順を示せば、次のとおりだ。

資産運用の基本手順

[目次]
 Ⅰ.資産運用の基本手順
 Ⅱ.家産(支配会社の純資産を含む)の財政的な状態を把握する
  1.総資産額の推移表
  2.総資産額に含まれない予備的予防的資産による補正総資産額
  3.資産の内訳
   1.不動産資産
   2.保険
   3.公的年金
   4.預貯金調べ〈円預貯金・外貨預金〉
   5.リスク資産調べ〈円預貯金・外貨預金〉
   6.骨董品
 Ⅲ.シナリオ
   1.長期シナリオ「国債暴落→金利上昇→円安とインフレ昂進に備え、円の金融資産を外貨資産へ転換する」
   2.中期シナリオ「2020年までに、金融資産の62.5%を外貨資産で保有する。」
   3.短期シナリオ「スイングトレードと長期トレードで期待リターンX%をめざす」
 Ⅳ.2017年のアクションプラン
  1.110万円の基礎控除による非課税枠による役員借入金縮減・相続対策
  2.バイ&トレードー投資哲学ー  
   1)キャッシュポジションの意義と機動的出動
   2)運用の基本1ーバイ&トレードー
   3)為替の運用
   4)為替→海外ETF〈米国上場ETF&香港上場ETF〉の二段階運用
   5)逆張り
   6)マーケット・ウォッチングの重要性ーリスクに構え、危機に備えるー
  3.貯蓄と負債
   1)貯蓄
   2)負債
  4.収入源  
  5.人生支出
  6.新ビジネスモデルへの取り組み
関連記事
別窓 | 半能の神お金 | コメント:0 | トラックバック:0 | ∧top | under∨
| 三保小次郎日誌 | NEXT